助房横手小刀・大・東京小刀は謎だらけ。その1決別と再会編

以前フラリと立ち寄った小さな金物屋さんで出逢った助房横手小刀・中ですが数年前に盗難に遭ってしまい現在も行方不明中です。
一度手にした感想ですが用の小刀(観賞用ではなく作業に使うという意味)としては最高峰に位置するのではないか、という評価だったので盗まれてしまった事は残念でなりません。
変わりに新しいのを購入するとなると盗まれて戻らない事を認めてしまうという思いがあり先延ばしにしていたのともう一つ、新品は静岡県の杉山刃物さんに売っています(楽天で買えます)が想定よりも高価だったのが重なり更に先延ばしにしていました。
最近ようやく盗まれたという現実を受け入れる事ができて改めて助房が欲しいという想いがフツフツと湧いてきていたのでした。

極稀にオークションに出品が有りますが人気があってなかなか落札できません。
運良くミニ繰り小刀は入手できたのですが、横手小刀がなかなか入手できないのです。

そんな時神からの思し召しと言いますか、結構な額のお金を貸していた友人から数年ぶりに連絡がありましてお金を返してくれたという事が有り、今がチャンスと清水の舞台から飛び降りたつもりで(大袈裟な)杉山刃物さんから新品の助房小刀(大)を1万1千円で購入しようと決断しました。
普段ジャンクに近い小刀を好んで集めている私にとって1万1千円は大きな買い物です。
早速サイトを見ると、なんと売り切れではありませんか。
問い合わせをしてみると「これはこれは、タイミング良い事に明日入荷します」と思し召しが続きまして購入を決めた次第です。


届いた小刀には鍛接線がありませんでした。
ここで記憶違いに気付きまして、以前持っていたモノには鍛接線があったように思えたのですが今写真を見ても何処にも鍛接線が無い、そうだ、確か以前もネット検索で出てくる助房小刀の多くには鍛接線があるのに手元の小刀に鍛接線がないのはなぜなのだ?!と感じたのでした。(ミニ繰り小刀には鍛接線があります)
製法が変わったのか、作者が変わったのか、でも凄く切れるし仕上げがとても良かったのでそこまで気にはしていなかったのでした。
※当サイトで何度も発言していますが鍛接線が無いからといって自家鍛接否定ではありません。自家鍛接では無いからといって火造り否定ではありません。火造りしていない複合材製でも切れる小刀は沢山あります。


スペックですが、以下になります。

仕様・複合材鍛造火造り(かと思われる)
価格・11000円
鋼材・白紙
全長・230ミリ
刃長・70ミリ
巾 ・23.5ミリ
厚み・3ミリ
刃角度・22,5度

鞘の作りは杢目のズレがなく蜜蝋仕上げでとても丁寧な仕事がなされています。ここは以前から評価の高いポイントです。

肝心の切れ味ですが、これが素晴らしく良く切れるのです。
癖もなく優等生の切れ味なのです。
文句無しのはずですが何か物足りない。
試し切りを少ししただけで刃先がボロボロになってしまいました。


一度研いでみないと評価はできないですねこれは。
以前持っていた中型の方は機械研ぎの跡が残っていてワイルド、悪く言えば雑に感じたにも関わらず、ただならぬ予感めいた切れ味(自分でもおかしな事を言っているのはわかってます)があって研ぐことを控えたような記憶があるのです。
研ぎが変更になったのかな。。。


でもそれは思い出補正なのかなぁと自分の記憶の不甲斐なさに辟易していたのですが、その時またもや神の思し召しかのように古いデットストックの助房小刀(大)がオークションサイトに出品されたではありませんか!そしてその小刀の裏には見事な鍛接線が見て取れました。
・・・これは絶対に落札して比較しないと駄目だろう!
メラメラと闘志を燃やしたとある秋の一日なのでした。
果たして落札はできたのか。
助房横手小刀・大・東京小刀は謎だらけ。その2温故知新編に続く
助房横手小刀・大・東京小刀は謎だらけ。その3ダルメシアンが現れた編