前回のお話助房横手小刀・大・東京小刀は謎だらけ。その1決別と再会編では盗難に遭った逸品を忘れるべく大枚をはたいて購入した新品の助房小刀には鍛接線がなかった!が、ネット上には鍛接線が見て取れるタイプのモノが多数あり是非とも入手して比較してみたいと思っていた矢先にオークションサイトに出品がありました。。。。というところまででした。
これは絶対に落札するぞと意気込んた結果。。。。
アッサリ2600円で落札できました。拍子抜けです。
助房小刀。良い小刀なんだけどなぁ。
小刀を必要とする人口が減っているのは間違いない事実ですね。
とりあえず助房について検索してみますと、スケフサは日本刀鍛冶が名乗っていたという記述がありましたが関係性は分かりませんでした。
鑿や鉋なんかも助房銘があるようなんですが、現在新品で購入できるのは小刀しかないようです。
情報量がとても少ないです。
ネット上で使っている人は殆どいないようですが、お一人だけ30年以上前に宮城県の金物屋巡りで出逢った助房小刀を大切に保管使用されているという方がいらっしゃいました。
※当然ですがブログ等に記事を書いている方がお一人という意味です。
この方は出張先で飲み歩いたりせずに金物屋巡りをしてお小遣いで小刀等を買ってらっしゃるようです。良い趣味ですね〜。
この方が購入した助房には鍛接線が見て取れました。
これよりも後に製法が変わったのでしょうか?
杉山刃物の社長なら何か知っているかも知れないと思い聞いてみました(別の用事のついでにコッソリと聞きました)。
「助房さんはどちらの鍛冶屋さんなのでしょうか?お名前等は公表されていますか?」
すると
「全て非公開の方になります。東京鍛冶という事と若い鍛冶、若いと言っても何歳くらいなのかは分かりません。小刀しか作っていません。それしか情報はありません申し訳ないです」
※杉山刃物さんはネット経由でも実店舗でも質問には丁寧に回答いただけます包丁や小刀、砥石、の事など初心者さんにも優しいです。
ミステリアスではありますが表に出ない鍛冶屋さんは多いので深追いはしません。迷惑になるとこちらも心苦しいですから。
ということで、助房銘の鑿や鉋との関連性も謎という事になってしまいました。
小刀しか作っていないというのは現在の事なのかなぁ。。。それも謎だ。
若い鍛冶?鍛冶屋さんで若いという意味は20〜35歳くらいの若いという意味と名人の域に達する寸前の50〜65歳くらいの意味があると思うんですよね。
謎は深まるばかりなり。
気持ちを切り替えて届いた助房小刀を見てみましょう。
鞘を抜いて刀身を見た瞬間ゾワりときました。
そもそもシルエットが違うのです。
これは、今助房とは全然違いますよ。
裏には鍛接線があり、刻印がクッキリ綺麗です。
双方とも磨き仕上げですが仕上がりが段違いで昔助房に軍配が上がります。
ヘアーラインが美しく青く光っているように見えますね。
今助房と比較すると正直、雲泥の差です。
※訳あって鞘を置いてる方が今助房です
刃先は機械研ぎのようですが、なんだかハマグリ刃のように見えます。
研いでみないとハッキリは分かりませんけれども林昭三さんの小刀を彷彿とさせます。
スペックは以下です。
()内は新助房小刀の数値です。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・2600円(オークション)
鋼材・不明だが白紙だと思われる
全長・225ミリ(230ミリ)
刃長・65ミリ(70ミリ)
巾 ・23.5ミリ(23.5ミリ)
厚み・3ミリ(3ミリ)
刃角度・21度(22.5度)
割り箸を切って見ましょう!スーーーッと?!?!アレ?え?アレ?
切れないじゃないか!!!
刃先を見て愕然としました。
ボロボロだ。。。
※刃先の写真下手くそで申し訳ないです。
新品デットストックのように思えたのですが試し切りされたのか、機械研ぎが原因なのか、とにかくこれでは切れないので研ぐしかないですな。
今助房も研いで比較しましょう。
助房横手小刀・大・東京小刀は謎だらけ。その3ダルメシアンが現れた編に続く