問屋銘幸弘の切り出し小刀です。
かなり前に作られたモノらしく
高田製作所さんが幸弘(三木の刃物問屋さん)の依頼で東郷鋼で作った小刀だそうです。
オークションには残りの2本がずっと出品(2025/02/09現在)されていますのでご存知の方も多いと思います。
3万円以上するのでなかなか決断できなかったのですが東郷鋼の小刀は本当に珍しくて清水の舞台から飛び降りたつもりで落札しました。
東郷鋼について
東郷鋼
約九十年前(大正時代から昭和初期頃)に河合洋鋼商店がイギリスのアンドリュー社に特別発注した現代の技術でも真似できない希少価値のある最高級鋼。
その切味の優秀さで東郷平八郎元帥より銘々が許可された鋼です。
鋼の可鍛性が悪く焼き入れ性も悪く、鍛接、鍛造が難しいのでなかなか取り扱いが難しく加工がたいへん困難、手間暇がかかりかつ作者の技術が問われる鋼です。
鉋ではたまに見かけますが、いずれも凄い値段が付いているので希少な鋼なんだろうなとは思っていました。
小刀では坂田憲治氏のモノを見た事がありますが確か10万以上していました。
高田製作所の高田 賢一氏が製作したという事で、失礼ながら存じ上げなくて、この度初めてホームページを拝見しますと鑿の他にも小刀や彫刻刀等も製作されていらっしゃるようで小刀はかなり良心的な価格で設定されていて今度オーダーしようと思いました。
※高田製作所様では刃渡り45ミリ前後を小刀、65ミリ前後を切り出し小刀と区別しているようです。
鑿鍛冶の特徴として鋼を巻く接合がされていて初期段階で鋭く研がれています。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・36000円(落札価格)
鋼材・東郷鋼
全長・210ミリ
刃長(刃渡り)・45ミリ
巾 ・20ミリ
厚み・3.8-4.3ミリ
刃角度・32度
重量・101g
刃角度が32度という事でオークションの説明にも堅木に力を発揮するとありました。
普段使っている安来鋼とはちょっと違うようなカリカリという感触で削れます…気のせいかな?
研いでみたいのですが勿体ない感が勝ってしまって研げていません。
そうなると違いもよく分からないので東郷鋼だからなんなのだ?という事になってしまうのですが自己満足の世界という事でお許しください。
ただ、これだけは言えます。
幻の鋼といえども日本が世界に誇る安来鋼が劣るという事はありません、切れ味についても東郷鋼が伝説の切れ味で万物を豆腐のように切り裂くという事は無いわけで、堅い木に特化した東郷鋼が衰退して万能に近い安来鋼が生き残っているのが真理だと思うのです。
今回はまだまだ自分の知らない、小刀を作る鍛冶屋さんがいらっしゃるんだなという事を認識できた事が僥倖でした。
高田製作所の小刀は握りやすくて凄く使いやすそうです。
やはりレギュラー商品をなるべく早く入手してガシガシ使ってみたいですね。入手次第ご紹介します。