この小刀なんの小刀気になる気になる繰り小刀〜その1・越堂繰り小刀編

突然ですが問題です。
坂光小刀はどれでしょうか?


※答えは一番下

ここ数ヶ月の間に以前から気になっていた繰り小刀を2本入手しました。
この小刀達は坂光小刀にとても良く似ています。
実際に坂井久二さんの製作なのかとても気になり比較してみることにしました。
坂光小刀が高騰している折、同程度の性能であるならば代替品として似ているだけで購入するのも有りですしね。
現在坂光小刀を検索すると殆ど当サイトが出てきます。
数年前まではヤフーブログやら無料個人ブログなんかでは猫も杓子も坂光坂光で小刀界隈では坂光フィーバーが起きていました。しかし、ヤフーブログはサービス終了になって、幾多の無料個人ブログではアカウントで交流できない事が起因したのか放置する方が増え、ワールドワイドウェブ上から坂光小刀の情報がどんどん消え去っている状況です。
残りはオークションか在庫の販売サイトか増田切り出し工場の製品販売サイトといったところでしょうか。
自分でサーバーをレンタルしてWord Pressを装換して小刀の事をくどくど書いてる人間(私の事です)は非常に稀であり、となると、坂光小刀を褒めちぎっている当サイトが坂光小刀の価格高騰に一役買ってしまっている面もあるのではないかと反省している次第です(自惚れるなというご意見もあるかと思いますが)。
絶対数が減ってきているせいもあるのでしょうが定価を超える価格設定には首を傾げざるを得ません。
坂光小刀にコレクション要素は少ない様に思うからです。
一応の目安ですが共柄切り出し小刀24ミリで3800円-5000円くらい、繰り小刀で5000円-6500円位が定価だと思われます(良心的価格ですね)。
これが定価を超えて一万円近くの値段になりますとガシガシ使うのには躊躇してしまいます。

小刀好きの方は既にご存知かと思いますが坂光小刀、特に繰り小刀にはとても良く似たものがありまして、当サイトでも紹介したことのある白牛・繰り小刀は坂光小刀にとても良く似ていると思いました。
他には「悦堂」と「助延正」という銘の繰り小刀がとても良く似ていまして今回はこの二本を入手しましたので紹介します。
最初は悦堂・繰り小刀を説明します。
越堂とはお名前なのか?地域の、例えば島根県の越堂とか?問屋名なのか?さっぱり分かりませんが
悦堂は今も曼荼羅屋さんで購入可能な商品です。
この時点で坂光小刀とは似て非なるものなのですが、どうやら他の銘でも製作されているようで一度は手にした方が多いのでは、と曼荼羅屋さんで説明されていましたので特徴を知っておけば坂光小刀に良く似た非坂光小刀を知る手がかりになると思いましたので鍛接線の様子やスペックを記しておきます。
真正坂光繰り小刀のデータを※赤文字で隣に記載します
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・3500円(オークション価格)※外栄金物定価6000円
鋼材・不明※青紙1号
全長・280ミリ※280ミリ
刃長・130ミリ※133ミリ(研ぎ減りアリ)
巾 ・21ミリ※21ミリ
厚み・3.5ミリ※3.3ミリ
刃角度・30.8度※27度

ズバリ言いますと、と言いますか、ぱっと見で鞘が同じ所(同じ機械?)で作られているのでは?と感じます。
坂光小刀に似た小刀は鞘もとても良く似ているのです。
坂光小刀には大別して二種類の鞘があり、古いタイプが非藤巻仕様で比較的新しいタイプが今回の越堂のようには藤(プラスティックかもしれません)が巻かれたものです。
固定方法やボンドの特徴もよく似ています。




同じだ。
鞘専門の業者さんがいるのでしょうか?藤巻タイプの鞘は岩崎さんや他の鍛冶の小刀で今も使われていますので鞘作りの業者さんがいらっしゃると考えるのがシックリきます。
似た鞘は三条の小刀に多く見られるのでそちらの地区の生産なのかな。
スペックですが真正坂光小刀の方がやや薄く鋭角です。
30度を超える刃角度はかなり使い手を選ぶスペックだと思います。

鍛接線を見て見ましょう。


いかがでしょうか?
分かりやすく黒マジックで線を入れてみました。


真正坂光の鍛接線の様子。


マジックでラインを入れてみました。


並べてみました。

真正坂光よりも白牛・繰り小刀に近いのかな?
鍛接線の特徴は似ていませんが裏は似ていますよね。




ちょっと真正坂光とは違うかな?とは思います。
鍛接線など一個一個違うだろうに比較して何になると思っている貴方、職人の精密機器のような技を侮ってはいけません坂井さんは恐ろしいほど同じ鍛接線を長年に渡って作り続けていたのです。
何時もと同じことを永遠と繰り返す作業は中々苦痛ですがコストダウンには最良です。
コストパフォーマンス最高の坂光小刀ならではの証だと思いました。
左は遺作となった白紙、真ん中はそこから十年程度前の青紙、右は更に昔だと思われますが見事に一致している鍛接線です。

さて、越堂さんの肝心の切れ味ですが良く切れます。
刃角度30度オーバーのせいか杉材なんかは少し押し潰してしまう感じですが中硬材には異常な能力を発揮します。
ひと研ぎしたらどうなるのか楽しみな小刀です。

冒頭の答えは左から二番目でした。


この小刀なんの小刀気になる繰り小刀その2助延正編
この小刀なんの小刀気になる繰り小刀その3・番外編・木屋・横手小刀90ミリ