木工家、楽器製作家ならば殆どの方が左勝手の鉋や小刀を持っていると思います。
私も少ないながら切り出し小刀や繰り小刀の左勝手を持っています。
左勝手は使用頻度がそこまで多くないので常に手元に置いて作業はしていません。
いざ使おうとした時にナイナイナイ!と1人大騒ぎして探してしまうのは私だけでしょうか。
外国の製作家達は左勝手という考え方があまりないのか両刃の小刀を使う方が多いです。
両刃は右で使って左にしたければひっくり返せばいいのですから楽ちんです(本当は少しコツが必要です)。
片刃の切り出しをひっくり返して使う方もいますが、なかなかコントロールが難しいです。
それをやると特に堅木では刃が滑ってヒヤリハットになることもしばしばあります。
正しい使い方をしたいけれどちょっと効率が悪いな、と考えて、それが両刃の小刀で改善できるならば迷わず使用する事でしょう。
繰り小刀の両刃はあまりお目にかかれません。
ネット検索すると平出の刃物くらいしかヒットしません(けっこうなお値段です)。
この繰り小刀を見た時、平出の刃物製に思えました。
軟鉄部分に入れられた杢目模様がそっくりなのです。
が、銘がありません。
でも、刃紋を見た感じで悪い品物ではないと判断して購入を決めました。
仕様・自家鍛接鍛造割込
価格・3500円(フリマ価格)
鋼材・不明
全長・275ミリ
刃長・135ミリ
巾 ・24ミリ
厚み・4.5ミリ
刃角度・35度(誤植ではありません35度です)
35度という刃角度は驚きです。
かなり無理な使い方をしても大丈夫そうですが、こんなに鈍角で切れるのでしょうか?
答えは、、、切れます!ちょっと躓き感はありますが良く切れます。
グリップ感が凄くて持ちにくいのが玉に瑕で、ちょっと削らないと使いにくいな、と感じました。
右勝手の小刀と左勝手の小刀を2本用意して作業するのと今回の小刀1本だけで作業するのは全く遜色が無いのかというと実はそうでもなく、両刃の場合少しコツがいりますし、平面部分を削るのは難しいかな?と感じます。
結局左勝手を使わないと駄目な時もある、、、、というのが両刃繰り小刀が浸透しない理由ではないでしょうか。
くびれた部分に使う場合は片刃よりも有利に働く時もあると思いますので、もし、安い出品があれば入手しても損はないと思いました。