東大吉入魂切り出し小刀八分・後世に残すために3時間研いだ結果

ワタクシ自身、過去に沢山購入してきた東大吉銘の小刀、当サイトで紹介してきた効果なのかは不明ですが某ネットショップにあった共柄切り出しの在庫は全て売り切れてしまいました。
2024年5月時点で入手可能なのはネット上に僅かに散見できる接木小刀くらいでしょうか。
金物屋さんの倉庫の奥に眠っているモノはまだあると思うのですが足を使ってこちらからお迎えにいかないと無理なのでなかなか難しいところ。
金物屋さんは日曜が休みの場合が多いので会社勤めだと尚更です。


東大吉銘の中で作者大東英一鍛冶がご自身が作った小刀の中で集大成とおっしゃっていた(記事に書いてあった)のが「入魂」と銘切りしてある青紙1号の切り出しです。

青一号入魂作銘を切ったものは後世に残して頂きたいと思っている(大東英一氏原文)刃物のフルカワ様より転載

実際に貴重であまりオークションにも出てこないです。

フリマサイトにたまたま二本出てきたので安い方を謎の10%引きクーポンを使って2万円ほどで入手できました。
刃物のフルカワさんでは定価18000円で売っていたので満足です。


今までスルーしていたけどどうなのだろう?切れるのかな?後世に残して欲しいという事だけど、これって使わないでくれって意味に取れるのですが、ワタクシは使います。
で、チャンスがあれば保管用をもう一本買いたい。
今回は別の方がもう一本出品されていましたが結構な御値段でしたのでそちらは断念しました。

仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・20000円くらい
鋼材・青紙1号(母材は古鉄と思われる)
全長・198ミリ
刃長(刃渡り)・65ミリ
巾 ・24.5ミリ
厚み・3.2ミリ
刃角度・26度
重量・91g

過去に刃物のフルカワで販売されていた東大吉入魂のスペックが
青1鋼使用
全長/215mm
刃幅18mm
重さ147g
厚5mm
価格 ¥18,000
となっており厚みがあって重厚な鑑賞寄りタイプなのでワタクシが今回入手した薄手のモノは実用的寄りなのかな、と感じました。



革のケースが付属しています



この誇らしげな銘切りを見よ



鍛接線も威風堂々…ん?少し割目アリ



説明写真ではわかりませんでしたが幅広い小刃が施されています(写すの難しい)


これ、切れるのかな?


案の定イマイチ切れません、全く切れない事はないのですが躓き感がかなり強い

鑑賞用ならこれで良いのかも知れないけれど、作業に使うとなるとストレスを感じてしまいそう。
研がなくては使えない。

この大きさの小刃を平面まで削るにはダイヤ砥石の出番です

ちょっとここで私事なのですが最近ギターの練習に力を入れてまして左手の指先に摩擦を掛けたくない、摩擦火傷をしたくないという刃物研ぎには致命的な事情が発生していまして、その事が小刀研ぎにかなり大きな影響を及ぼしてしまい指先を庇うあまりに刃先が思うように研げないという現状が長く続いているのです。
似たような条件として女性でネイルがあるので研ぎにくい、ですとか左手が関節痛で上手く使えないという方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?

そこで左指を刃先に押し当てなくても奇麗に研げる方法を知人が考案してましたので紹介します。

簡単なので皆様もお試し下さい。
用意するモノはだいたい厚み20ミリ幅30ミリ長さ150ミリくらいの木材とできればクランプです。

木材を小刀に合わせてカットします


これで完成?!
刃先を1ミリ程度出してクランプで固定します。クランプが無くても研げますができればあった方が良いです



刃先に指を当てずに全体に均等に力を加える事ができるので早く綺麗に研げます



正直、何故こんな簡単な事で綺麗に研げるのかメカニズムはよくわからないのですがとにかく良く研げる



荒研ぎはこれで研ぎます
裏が出にくい時もコレを使うと力を入れやすくて早いです。

に、してもこの後が研ぎにくかったです。
研ぎ器で荒研ぎはかなり短縮できましたが鋼部分が硬いのか砥石との相性が悪いのか刃先に砥石が効かない



結局3時間ほどかかってしまいました。



カエリはなかなか取れないし革砥で丁寧に仕上げしないと全く切れない刃物になってしまいますので初心者の方には難しい小刀と思います。

せっかく研ぎ上げたのに愛用している手持ちの出雲小刀なんかと比べると雲泥(雲だけに)の差があるのです。



鍛接不良などを鑑みて晩年期の作だと思われるのですが果たしてこれが本来の東大吉の斬れ味なのか、それとも。。。
それを含めての東大吉なのである。
もう一本欲しいかどうかと言うと、、、欲しいです。