パキスタンナイフを研いだら変な模様出てきて困惑した

以前から気になっていた犬釘を使ったパキスタンのナイフです。
インドとかパキスタンのナイフ製作動画が好きでいつも観てしまうのですが青空工場の簡素な設備で仕上げてしまう様は観ていて気持ちが良く時間を忘れてしまいます。

アチラの鍛冶屋さんは古ヤスリは勿論の事、使用済ベアリングや車の板バネ、鋸等、使用済みの古鋼を加工して再生するのが(動画で観る限りでは)多いです。
焼きの入った鋼を焼鈍して整形して再び焼入して焼戻して仕上げるスタイル。
私の認識では一度焼入してある鋼を焼鈍して再び焼入するのは脱炭の可能性を考えるとあまり良いことではないように思うのですが(冶金学的にはどうなのでしょう?しっかりと硬度は得られるのでしょうか?)コストダウンが可能ですし入手しやすいといったメリットあるので個人製作者でも利用している方は多いのではないでしょうか。




今回入手したのは犬釘という鉄道の枕木を固定する釘を加工したナイフなのですがWikipedia:犬釘によると頭部の形が犬の鼻や耳に似ているので犬釘と言うらしく米国では亀の頭のような形をしているのでTurtle nail(タートルネイル)と呼ばれているらしいです。



成分については言及しているサイトが皆無で刃物として適しているのかは不明なのですが鉈やナイフに加工している外国の鍛冶屋さんは多く入手は容易く安価です。
一文字違いの犬首鋼(いぬくびこう)は昔英国アンドリュー社から輸入されたバイトに使用する鋼で故・坂田春雄の鉋に使用されるようになって有名で高価です


当然ですが全鋼になります

焼入は全体に入っているのか 刃先の部分だけなのかはわからないですが製作者によって変わりますので一概には言えません

スペックです

仕様・全鋼鍛造
価格・3800円
鋼材・犬釘
全長・225ミリ
刃長(刃渡り)・110ミリ
巾 ・34ミリ
厚み・3.5-6.0ミリ
刃角度・20度(小刃消去後)
重量・311g

イカツイ重量とは対称的に20度という繊細な刃角度ですが、初期段階ではこれまたイカツイ小刃が施されていまして何も切れない状態でした。
切れ味が悪いがなんとか切れるという事ではなく一切何も切れないのです




これには辟易しましたが、パキスタンでは安くしてるのだから研ぎは自分でやりなさい、というのが当たり前の事なのかな?
とりあえず小刃を消すべく手持ちの荒砥やダイヤ砥石をフル出動させました


砥石との相性が悪いのか鋼が硬いのかワタクシの技量の問題なのか、兎に角研ぎ難いです



そのうち変な模様が出てきて消えなくなるし




最後は柔らかめの小さな天然砥石を駆使してなんとか刃先を仕上げました。
硬い砥石より柔らかめの砥石が相性良いです。
当サイトでは何度か言及していますが両刃のナイフで小刃が施してある場合、先ずはフルスカンジを目指して研ぐのが順当だと思っています


1を目指す訳ですが全鋼となると直ぐに難しい事に気付きます。
ハマグリ気味に2のように研ぐのが早道であり妥当なのです。

これを繰り返して行くと刃先が鈍角になってきます

それを解消すべく肉抜きが必要になるのです


謎の模様は消えませんがなんとか研げました。





良く切れますが魚を捌いたり野菜を切るというのとはちょっと違うかな?
かといってバトニングできるのかというと全鋼なので反発が怖いかも。
当然ですが工作に使うという選択肢は無いかな、ウン、これは用途が定まらない、まさに帯に短し襷に長しといった感想です。

筋トレできるほど重く、研ぐのも大変、使うのも大変ですので見た目が好きな方のコレクション要素が強いと思います。
持ち手の捻り部分をカットして軽量化してバランスを良くするとより実用的になるのかなと思いました

申し訳ないけど同価格帯のモーラナイフを買った方がいいかな。

犬釘は現在も簡単に入手できるので自作ナイフ入門の鋼材としては良いかも。参考までに