梅鉢龍馬横手小刀135ミリ・安価な小刀を乗りこなせ!

梅鉢龍馬という横手小刀です。
オークションで別の小刀を購入した時にオマケとして付いてきたデッドストック品です。


ワタクシが生まれて初めて購入した横手小刀が龍馬の75ミリでした。
この75ミリは購入して暫くの間使いましたが刃先の欠けが多いのでいつの間にか引き出しの奥に仕舞って数年後に発掘、何故かとんでもない切れ味に昇華していた不思議な小刀ですが、その後盗まれてしまい手持在庫に無かった(繰小刀はあります)ので嬉しいオマケでした。


龍馬小刀で検索するとわかりますが藤原産業さんで今も販売されていまして、製作は誰もが知っている三木のI刃物さんのOEMと推測しています。
新品の価格は3500円前後で2007年頃は確か2000円くらいだったはず、2024年現在では鞘が木製ではなくフェイクレザーのサックに取って代わっているようで、物価高の影響をヒシヒシと感じてしまいました。


ここでスペックを見てみましょう

仕様・利器材プレス物
価格・オークションのオマケ品で実質ゼロ円?
鋼材・SK5と思われます
全長・247ミリ(鞘抜き233ミリ)
刃長(刃渡り)・65ミリ
巾 ・24ミリ
厚み・3ミリ
刃角度・21ミリ
重量・111g

初期状態では小刃というには無理がある二段刃が施されていて切れ味が悪いです。
コスバの問題もあると思うのですが安価な入門用という位置付けとすると購入する大半が初心者になるのでもう少し切れる設定にしてもらいたいですナ、コレじゃあ気持ちがカッターに傾いてしまいます。





研げば中々に切れるようになる事は立証済なので研いでみたのですが…


とても研ぎ難かったです

まず二段刃が全然消えなくて苦労しました




研ぎやすいと言われるSK5ですが鋼ではなく軟鉄の部分が砥石と相性が悪いような感じでゴリゴリと
いう感触がして思うように研げない。
自分の腕が悪いのもあるのでしょうが初心者にはかなりハードルの高い研ぎになるのではないかな?
さらに気になったのは、何時ものように研いでいるのに刃線が真っ直ぐに研げない事。

砥石の平面にはかなり気を使うのですが硬度にムラがあるかのように上手くいきません。

それでもなんとか切れるように仕上げる事ができました(どうしても消えない傷が下の部分にあります)


小刀によっては中砥石(#2000〜#3000くらい)で研いだだけで切れるようになるのですが今回の龍馬さんは刃先が出なくて#5000からしか切れるようにならないというなんとも気難しいヤツでした。
鋼の不純物が多いのかな?マッチする砥石が定まらず苦労しました。
以前持っていた龍馬さんも数年放置してやっと切れるようになりましたし自らの研ぐ技術の向上があった時には違ったアプローチができるようになって新たな発見ができるかもしれないので愉しみにしつつ机の奥に仕舞おう
かな、と考えてしまいました。


今回の鋼表記ですが以前持っていた龍馬さんがSK5という記載がありましたのでそれに習いましたが最近の龍馬さんには鋼の表記がなくSK5というのは憶測です。
ユーザーの知識(正確不正確は別にして)が高まって青紙以外の表記だと売れないというのがあるのか敢えて表記しないスタイルや特殊鋼という表記が増えてしまったので今回の龍馬さんの鋼もSK5と予想しましたが研ぎ難さからすると…分からないのです。真相は分かりません。

そもそも龍馬小刀は謎だらけ、龍馬と言えば坂本龍馬ですがそことは縁のない加賀百万石前田家で有名な梅鉢紋ですし藤原産業さんも三木市所在で縁は無さそうなんです。名付けの経緯を知りたいものです。

安価という事で入門者用と思いきや研ぎ難い面があって実は職人向けなのか悩む小刀、それが龍馬なのです。