清房・白柿小刀・相変わらず主張が強いキヨフサさんがワタクシを悩ませてきた

多種多様なラインナップで小刀好きを魅力する清房小刀。
鍛接跡は隙間だらけ、荒い磨き、歪みが強い、と控え目に言っても作りが荒いので収集家は完全に敬遠しているが職人さんの一部からは凄く切れる小刀として熱い視線を集めているのです(ほんまかいな?)。

今回御紹介するのはそんな清房さんの白柿小刀です。




Rがキツイ


相変わらずの漢鍛接線


普通は機械研ぎの後に磨き作業があるので裏の磨きラインは縦に入るものですが清房はこの磨き工程を省略しているようでグラインダーの横傷が残ったままです。まるで切れ味に無関係な部分に時間は使わないよと主張しているようです。

スペックです

仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・千円(落札価格)
鋼材・不明
全長・168ミリ
刃長(刃渡り)・18ミリ
巾 ・16.5ミリ
厚み・2.5-3ミリ
刃角度・15度
重量・47g

色物の唐木に線を引く(書く)事から白く書き→白柿という洒脱な言葉遊びという訳ですね。

罫引、毛引きの一種なのですが、え?罫引きってこんな感じのモノじゃないの?
※写真下は出番待ちの罫引小刀の数々





と思う方が多いと思うのですが、これらの罫引は直線面が最低一つないと使えませんし、フトコロに限界があります



面やフトコロに関係無く定規を使って線傷を付ける事ができるのが白柿小刀なのです





しかーし!あんまり使う人いないのですよ最近は。
杉や檜なんかの白物には鉛筆や墨で罫書きますしウェンジや紫檀、黒檀だと鉛筆の線が見えなくなるので白柿の出番なのですが、今って色々と白い色鉛筆がありますから
正直、線傷よりも白い線の方が見やすいですものね。
本職の唐木(からき)使う方は使ってらっしゃるのだろうか?
DIY界隈の方は少ないと思います。
まぁ、卦がいた線を目印とするのともう一つ、卦がいた跡にできる溝を鋸や鑿の導線として使う場合もあって、そちらのほうが重宝されているのかもしれません。
研ぎ方にもコツがあって半分くらい刃殺ししないと力加減によっては喰い込んで曲がってしまい上手く直線が引けません。定規から脱線する事もしばしば。使い慣れが必要です。


私的には定規より厚みのあるストレートエッジのようなモノの方がやりやすいと思うのですが、こういう面倒くささがあるから普通の切り出し小刀を罫書きに使う方も少なくないのです。


さて、清房さん、調子はいかがでしょう…


一切刃が付いていませんでした

研ぎます。
錆落としをしますが荒砥で縦に磨いて磨き傷を付けていきます。横磨きでも問題ありませんが手砥石で短いストロークで磨くのは難易度が高いです


ダイヤ砥石で裏を押して平面にします


白柿小刀は超仕上げにする必要は無く、掛かりが良くなる3000番くらいで止めておくのがワタクシ流。
一応切れるようにしておくために一生懸命研いでいるのですがいつまでも刃返りが出ません



ダイヤ砥石でかなり強く研いでも刃が出ないのです。
あれ?なぜだろう?
もしかして白柿は木の繊維を潰して傷付けるモノだからわざと切れないようにしているのか?
そう思って手持ちの白柿と比較してみたのですが、昭三の白柿は普通に良い切れ味ですし線を引く時に軽くて心地よいじゃないですか。
やはりある程度は切れてくれないと駄目なのです。

なにせ1000番の砥石に当てるとキーーーーーっと音がして滑るのです。
鋼部分に傷さえ付かないのです。
そこで出した結論は…
焼戻し工程やってないでしょコレ。

あえて硬くしているのか、不良品なのか、いつか清房さんの白柿をもう一本入手して真相を究明しないと駄目ですね。
その結果次第で焼戻しをやることにして、その時にはまた報告します。


SNSの投稿を見ていると白柿として使うよりも細工彫刻刀のように使う方の方が多いかな?
一本有ると便利ですし美貴久など割と安価な製品もあるので楽しみながらお試しいただければ良いかと思います。

※正直白柿についてあまり詳しくないのでコイツ何言ってんだ?と思う部分もあるかと思いますが生温く見守って下さい