菊刃紋の横手小刀が機械研ぎのままだったので研ぎました。
歪みを見ますと先端が僅かに歪んでいましたのでコジ棒で矯正します
コジ棒は樫の木で自作です。包丁のコジ棒のようにXの切れ目は必要ありません2ミリ3ミリ5ミリで縦に切れ目を入れています
反対側は平面になっていて小刀を当てて光りの漏れで歪みを判別するのです
ここの平面はストレートエッジや自作の平面定規で確認して立鉋や平面の板に貼り付けたサンドペーパーで平面を作ります
自作の平面定規(下端定規)は朴で作っています
2つ合わせて鉋や平面板で2つを合わせた時に光りの漏れが無くなったら平面完成
平面板はどうするのか?
手押し鉋で反りを抜いた板やガラス板、ホムセンの御影石等思いつく限りのあらゆる方法で平面板を用意します。
最初の頃は作ったコジ棒の平面と自作平面定規と平面板を三面合わせしながら精度を高めます。
この木製平面定規は砥石にも使えますが濡れた後に乾燥すると狂う可能性が高いので点検と面直しが忙しくなるでしょう。
また砥石に当てて濡れたモノを鉋に当てるのはよろしくないので砥石なら砥石専用にすると良いです。
材質は朴やマホガニーでも大丈夫ですが杉や桐くらい柔らかいものはあらぬ方向に歪みますのでオススメしません。
黒檀や紫檀は強固でオススメですが高価なので、それなら鋼製のストレートエッジを8000円くらいで買った方が良いかも。
さて、あらとくんから始めます
ベスター#700
キングハイパー#1000
キングハイパー#2000
キングS1#6000
最近のお気に入りセットです。
研ぎ上げてから切れ味測定装置で切れ味を可視化します。
デジタル秤の上の凹型の鉄に張りつめた糸をセットしてモーターシリンダーで均等に力を掛けて糸を切断して一番大きな数値を比較します。
(仮)切れ味測定器キレ美ちゃん、簡単な動画にしましたので御覧下さい
切れ味の可視化…課題はあるけど一応機能はしてると思う#切れ味測定 #切れ味 #研ぎ pic.twitter.com/ECmm8sTgXp
— kurikogatana (@kurikogatana) September 15, 2024
研ぐ前は93だった数値が研いだ後は39まで向上しました。
この装置はアメリカ製のナイフ切れ味測定器をヒントに作りました。
この測定器は手を使って人力で押し切って数値を測定するのですが絶対同じ数値にならないし、強く押すと数値が良くなるので常に一定の力で押せるシリンダーを使いました。
シリンダーはDC12Vなので家庭用交流100Vを直流の12Vに変換して正転逆転できるようにスイッチを付けています。
作ったばかりなので切れる数値がどの辺りなのか?ということ、使う糸の種類の模索が続いている状態ですが同じ刃物が研いでどのように変化したのかは見えると思います。
また他社砥石との比較も容易いです。
数値が高いからといって即座に木工に使えるかというとそういう事では無くあくまでも刃先だけを見ています。
研ぎ方によって違うだろう?
刃角度によって違うだろう?
鋼種で違うだろう?
色々と否定的意見はあると思いますが、この数値で日本一を決めようっていう訳ではなくて元々は切れ味の感想だけを述べていたのですが、「感想を聞いてもこっちはさっぱり分からない」「実感が湧かない」という御意見をいただいてなんとか可視化できないかと考えて辿り着いた苦肉の策なのです。
それでも色々と応用はできそうで砥石の番手を上げた時の変化や小刃を入れた時の変化等、遊び心を持って小刀と触れ合うには十分なアイテムだと思っています。
今後はちょくちょく登場すると思います。