プライベートブランドとは、小売店・卸売業者が企画し、独自のブランド(商標)で販売する商品である。
具体的には、流通業者の主導権のもとで製造業者などと連携して開発し、生産される独自ブランドの商品を低価格で販売することである。ナショナルブランドの対義語。
PBと略され、別名「ストアブランド」、日本語では「自主企画商品」と和訳される。
引用:Wikipedia
小刀界にもプライベートブランドに良く似た問屋銘というモノがあります。
「数百本注文するから銘はウチの名前で割安でお願いしますお金は先に払います!」
という感じかはわかりませんが、鉋などでは同じ問屋銘を数人の鍛冶屋さんが供給したりする事も多々あるように小刀界でも少なくないです。
もちろん安くするために問屋さんが(廃業した鍛冶屋さんから引き取った)鋼を提供するとか、青紙をSK材に変更するとかはあるかもしれません。
小刀で有名なのは当然、大納言銘の坂光さんでしょう。
また、例えば三木市の会社が問屋銘を商標登録していてそれを「登録〇〇」と小刀に打って販売していた場合は先ず池内刃物や藤原小刀が製造に絡んでいるのではないかと思ってもいいのではないでしょうか?鞘の形や槌目が殆ど同じですからわかってしまいます。
登録親和と池内刃物の鞘の合わせ部分の黒白のプラスチック部分の作りはとても良く似ている。
更に藤原産業(三木市)の龍馬小刀と三本並べてみると同じ部品に見えるが果たして。。。
しかし、この真実は絶対に公にされません。
同じ鍛冶屋製で値段差があれば安い方に流れていくのは自明の理ですからビジネス的観点からどちらにも損に繋がりますので絶対に公にしないのです。
消費者である我々は良く勉強しておかないと失敗する事もあるかと思います。
※銘にお金を払っている方は別です。
私はオークションを見ていて有名な銘の小刀と特徴が一致する異銘の小刀が格安で出品されているのを発見した時にはなんだか嬉しくなります。
自分がその有名小刀を所蔵していたなら特徴を比べて何度も見直してから入札して、どうか、他の人が気付きませんようにと願ってしまいます。
他の入札があると「気付きましたかな?」とソワソワして高値(といっても二千円以下の格安の戦い)で返してそのまま落札できたら「気付いてはなかったのかな?」「銘にしか興味なかったのかな?」と小躍りします。
そして手元に届くまでドキドキして箱を開けて嬉々とします(当然落胆もあります)
最近は目の肥えた人が多くなかなかクリティカルヒットを出せずにいましたが、少し前に以前から気にかけていた繰小刀が出品されましたので満を持して入札したのでした。
それをここで発表してしまうと次から落札しずらくなってしまう可能性も無きにしもあらずなのですが、小刀の普及には良い事だと思っています。
さて、その小刀とは二本で2600円で落札できた繰り小刀のうちの一本です。
「登録白牛」とあります。
錆びてはいますが未使用品らしく磨いてまだまだ使えそうです。
裏には鍛接跡であるカイサキが見えます。
このカイサキの角度に見覚えがありました。
そう!坂光小刀登録七八五六号とそっくりではありませんか!
刻印の縁取りも似ているけれども似ているだけだろうか?
商標登録を検索してみますと3件ほどの会社がパンの商品名で登録されていましたが、これは関係ないと思います。
するとあとは、見た目だけが頼りですが、まぁ、安いのでダメ元で落札しました。
ライバルは4人いましたが加熱はせずに落札できました。
届いて早速二本を比較して見ますと。。。。いやはやなんとも。。。。そっくりじゃないですかな?
白牛(ハクギュウ・シロギュウ・シロウシ)のスペックは以下になります。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・1300円(オークション落札価格)
鋼材・不明
全長・275ミリ
刃長・135ミリ
巾 ・21、2ミリ
厚み・根本3、5ミリ刃先2、7ミリ
刃角度・28、5度
坂光銘の登録七八五六号のスペックは以下です。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・5050円(オークション落札価格)
鋼材・青紙と思われます
全長・275ミリ
刃長・135ミリ
巾 ・21,4ミリ
厚み・根本4ミリ刃先2,9ミリ
刃角度・30度
うーん??見た目はよく似ているのですが刃角度と厚みが微妙に違いますね。
でも黒打ちの部分に入っている縦線が一致してるんですよね。
※坂光の方は黒皮を落としていませんので見にくいのですが確かに一致しているように見えます。
どうなんだろう?これは。。。外してしまったかな。。。
それに白牛の方は錆びやすい気がします。
切れ味も試したいので研いでみます。
少し反っていたのですが金盤+サンドペーパーで平滑にできました。
刃先が折れていたので修正しました。
剛研デラックス#800→剛研デラックス#1000→シャプトン#2000→シャプトン#5000と研いでみましたが全く刃が出ず切れません。
いよいよヤラカシてしまった感が漂ってきましたが、仕上げに天然砥石を使いましたところ見事に研ぎ上げる事ができました。
天然砥石は普段あまり使わないのですが苦しい時の最後の望みとして使うと良い事がある場合もあります。
もちろん天然砥石を否定する思想ではありません。人造砥石で事足りるなら天然砥石という(私にとっての)沼に入りたく無い、というのが正直な気持ちです。
研ぎ上げた白牛は良く切れますが、坂光とは微妙に違うような感じがします。
しかしながら細部の特徴一致を考慮して白牛小刀が坂井さんの製作したモノである可能性は40%以上と判断しました。
40%とは言え今後も白牛が安価で出品されていたら入札するんだろうな。
※追記:その後徹底的に研ぎ上げた結果凄く切れるようになりました。切れ味、砥ぎ味等を改めて見直した結果十中八九、白牛小刀=坂光小刀であるという私的意見に変更します
コレクションだけでなく使ってなんぼの方には問屋銘小刀は有り難いです。
今回の考察はあくまでも予想ですので白牛買ったけど坂光じゃないやんけー!!!等の苦情は勘弁して下さい自己責任でお願い致します。
また、坂光さんの小刀についてフリマサイト等で「坂井さんのじゃなくて増田のだろ?値下げしろ」等と出品者に知識でマウントを取って値下げを要求している方をたまに見かけますが恥ずかしいので止めましょう。
坂光が欲しくて出品者さんの知識が間違えているだけなら買わない、スルーでいいじゃないですか。
そういう事すると蔵出しが無くなってしまうのが危惧されます、と、思う今日このごろでした。