ヒグマと戦うための小刀・相田合同の剣鉈小刀120ミリ

2021年夏、全国的にクマ被害が増えているようですね。
もう何年も前からドングリや木の実が森林開発によって減少していると聞きます。それが原因の一端となり飢えたクマが里に出てきて畑を荒らしたり人に襲いかかったりするようです。

ところで、私の兄は北海道札幌市に住んでいます。
札幌市市内でもヒグマが出没して駐屯地に乱入したり通行人を襲ったりして大問題になっているそうなんです。ヒグマ被害について


なにせ繁華街ススキノから10分で行けるスキー場にヒグマがバンバン出没するんですから洒落になりません。
※御存知かと思いますが津軽海峡を境に北海道にはツキノワグマは生息しませんヒグマだけです。
この境界線をブラキストン線または津軽海峡線と言います。
ブラキストン線を北限とする種はツキノワグマ、ニホンザル、ムササビ、ニホンリス、ニホンカモシカ、ニホンモモンガ、ライチョウ、ヤマドリ、アオゲラなどです。
南限とする種はヒグマ、エゾモモンガ、エゾヤチネズミ、エゾリス、エゾシマリス、ミユビゲラ、ヤマゲラ、シマフクロウ、ギンザンマシコ、クロテン、ナキウサギなどだそうです。



私の兄は釣りが趣味で北海道各地の源流地帯にイワナなんかを求めて入渓するのですが、ほとんどの源流が超ヒグマ出没地帯なんです。
ただし、そういう山奥にいるヒグマは餌も豊富にありますので飢えて人を襲う事はないようです、もし襲ってくるとしたら子供を連れた母ヒグマが子を守るために攻撃してくるか、曲がり角で出くわす出合い頭くらいなもので、ヒグマは基本臆病ですから人間の匂いや足音にビビって猛ダッシュで逃げますのでラジオ大音量作戦や爆竹作戦は有効だと言えます。
※上の2枚の写真は兄が実際に北海道の源流地帯で撮影したものです。


さて、とある日、私はフリマサイトを見ていました。
「この剣鉈いいなぁ」
見栄えの良い剣鉈が目に付きました。
安価で切れそうです。
相田合同製作所製という事で一応検索して納得し、ポイントを使って2千円ほどで購入しました。
購入した後何故か私の腕時計が止まっている事に気付き、もしや虫の知らせか?と思って兄にメールをしたのでした(肉親は兄だけなのです)。
元気な兄から返信があり、コロナ禍で仕事が無く釣りばかりしているとの事。
「バトニングしたいんだけどいい鉈ない?」
唐突にこのような返答があり、ビックリしてしまいました。
まるで私が鉈を購入したのを知っているかの如く。。。。

というような偶然も有り、同じ出品者から私の購入した剣鉈よりも厚みのある味方屋製(アジカタヤと読みます)の剣鉈をプレゼントする事にしました。

私の購入した剣鉈のスペックはこんな感じです。

仕様・鍛造(複合材?)
価格・4800円
鋼材・不明
全長・245ミリ
刃長・120ミリ
巾 ・21ミリ
厚み・3ミリ
刃角度・15度

私はバトニングには興味がないのであえてコストパフォーマンスの方を選択しました。バトニングには不向きな薄刃、包丁並みの刃角度の本製品を購入したのです。

バトニングやフェザースティックは家族とキャンプ場に行ってお父さんが子供さんに刃物の扱い方を教えたり、ソロキャンパーがキャンプ場でストレス発散の為に行う行為だと思っております。
勿論これらを否定するつもりは全く無いです。
しかしですね、山奥に一人で行ってバトニングを行うでしょうか?

焚付のためにフェザースティックを作るでしょうか?いや、私はきっと文化焚付を使って市販の炭に着火する事を選択します。
それは人それぞれだと思うのですが、兄もこちら側の人間だと思っていたのですね、ところがバトニングをやりたいなどと言い出したものですから面食らってしまいまして色々と質問しましたところ、「実はクマと渡り合える丈夫な一本が欲しいんだ」と言い出しました。
正気なのでしょうか?→正気です。
釣りや登山に行くたびにクマの糞がゴロゴロ転がっている事に恐怖を覚え、いつか対峙するのではないか?と考えているようなのです(本気なのが怖い。実際3回ほど遭遇もしているようです)。

そんな場所に行かなければいいというのは一般的な考えでして、命よりも釣りが好きな者はクマと一騎打ちも辞さないというのですから驚きです。

さて、この味方屋(アジカタヤ)の鉈(小刀と言っていいサイズです)でヒグマを撃退する事は可能なのでしょうか?




色々と方法を考え、いくつかの使い方候補が出来上がりました。

よし、発表しよう!と思ってふと我に帰りました。
。。。この技は人間を殺傷する為に応用できるな。。。と。
このような事を書くわけにはいかないですね当然。

詰まるところ、私からは持っているとお守りにはなりますよとしか言えないです。
熊守(クマノカミ)とでも言っておきましょうか。

素直に熊撃退スプレーがいいと思います。

兄にも助言しましたところ藪漕ぎの時に使ってみるとの事でした。
いい選択だと思います。
巷で流行している数万円もする洋鉈(ナイフ)を藪漕ぎで振り回す事に意味があるのか?という話なんです。
やはり手頃な値段で靭性のある日本の鉈の方が現実的じゃないのかな?と思います。
今更刃物の愛好家に靭性の話をするのもどうかと思うのですが、やたらと硬度をアピールしてくる説明文を見かけますが硬度ばかり追い求めますとチョッピングした時や硬い木を切った時に欠けてしまいます。
鉈なんかに硬度63とか必要ないと思うのですね。
59〜61とかで十分。
しっかり焼戻しをして靭性を高めた黄紙なんかの鉈がブッシュクラフトでは大活躍するのです。
※最高硬度で最高靭性の鋼焼入れ法は存在するのでしょうか?存在するのであればそれぞれの鍛冶屋さんの秘伝と言えましょう。
鍛冶屋さんはそれぞれ独自のギリギリのラインを見極めているのです。

味方屋の鉈ですが、数日後に兄から連絡があり、
「とんでもない切れ味だ!これは凄い」との事でした。

私の相田合同の鉈もかなりの切れ味です。
最初切れ味が悪く革砥を軽く当てただけなのですが恐ろしい切れ味になりました。
枯れ枝から魚から肉、何でもござれの万能ぶりは嬉しい限りでした。
鉈柄もグリップ感が良く振動吸収性能もいいです。
※相田合同の鉈も味方屋の鉈もシルエットは同じように発注しているようです。

ただ、付属の鉈ケースはリュックの中で傷つかないようにする為だけのものですね。
腰に装着する事は無理です。
柄が重くて上下逆になって危ないので腰に装着する際は自作ケースが必要です。
用途を考えると腰に装着するのは必須だと思うのでここだけは残念ポイントです。

ただ、私は今の所クマと戦わないので腰に装着する事はないと思っています。