菊一丸・横手小刀105ミリ・裏の役割とは?

かなり前にフリマサイトで入手した横手小刀です。
カイサキがあって手打ちであることと送料込1500円と安かったので買ってしまいました。

古いモノらしいのですが、全く資料が出てきません。初めて見ました。

丸系という事で問屋銘の小刀なのであろうと予想するも類似の槌目も見た記憶がありません。とても独自の槌目じゃありませんか。

スペックはこんな感じです。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・1500円(フリマサイト)
鋼材・不明
全長・200ミリ
刃長・50ミリ
巾 ・21ミリ
厚み・3ミリ
刃角度・25度

来るのが楽しみでしたが到着して確認するとチープな作りにちょっとガッカリしてしまいました。


杉の間伐材か何かを使った鞘と柄は節だらけだし、木目は通ってないし、合わせ部分がボロボロだし




(軽いのは良いなと思いました)、機械研ぎの跡が残る刃は見るからに切れなさそうな感じがして割り箸を数回切って、目を見張る切れ味もありませんでしたので保存ボックスの奥に仕舞ってしまいました。

最近になって金盤+荒サンドペーパーによる平面出しがマイブームになりまして、こういった陽の目を見ていなかった小刀を引っ張り出して研ぎまくっていたんです。

裏は最初、砥石を当てました。
しかし、全然平面が出ないので金盤+荒サンドペーパーに変更して平面を出したのですが結果に驚きました。
刃先の裏部分しか平面にならないのです。


後ろの部分は凹みが激しく当たっていないのです。


後ろに合わせると完全なベタ裏になってしまうと思い、一旦置いておいて、とりあえず刃表を研いでみました。
砥石当たりがとても良く、根本の一部分がチップした名残り(量産品に多く見られる機械研ぎのミス。ティンッと呼んでます)があって研ぎきれない事を除いてはとてもきれいな刃が付きました。


試し切りをしてみると、目を見張る切れ味じゃないですか!これは切れる!
裏は結局刃先の部分が平面ならば切れるのか。。。。当たり前か。

当たり前だとも思うのですが小刀を扱う方は裏にたいして異常なまでに最初から完全真っ平らを求める方が多いと思います。
ベタ裏イコール寿命と考えている方も多いですし、鉋のように刃表から叩いて裏出しする強者もいるようです。
ベタ裏でも切るときの押しが重くなるような感覚は無いように思いますが私が鈍感なだけでしょうか?
「鉋は糸裏鑿はベタ裏小刀は問わず」
というのが私の意見かな。

購入当初は鋼の歪みが出やすいので鍛冶屋さんが少ない面積(糸裏)で平面を作っておいてくれている→研いでいくうちに糸裏が消えてベタ裏になっていくが鋼の変化は治まっているので少ない研ぎでも平面が維持できる→鋼が消える部分、つまりカイサキまでそのままいける。

ベタ裏でも切れるというのは両刃小刀の事を考えると納得行くと思います。

今回の菊一丸小刀の裏は独自な凹みがありますがこのままでも良く切れますし様子を見ながら研ぎ進めたいと思っています。
※追記:その後裏押しを進めて表もフルスカンジで研ぎ上げました。とても良い小刀です。シールを剥がしてウオルナットオイルを塗りました


菊一丸小刀はとても良い小刀だと思いましたので繰り小刀も購入してリポートはこちら。
また、同タイプ横手小刀の135ミリも安価で出品されていますので入門用の小刀を探している方はオススメです。