フリマサイトで購入した菊一丸横手小刀の切れ味がとても良かったものですから追加で購入した繰り小刀です。
送料込で1500円なんてチープ好きの私にとってなんとも魅力的ではありませんか。
新品未使用デッドストックだというのに正直見てくれが悪いです。
鞘は安っぽいし、鎬(しのぎ)は機械研ぎの傷だらけ、槌目もなんだか適当にやっつけ仕事をしたような感じです。
しかし、私は知っていた。
横手小刀の凄い切れ味を。
きっとこの繰り小刀も切れるに違いないと確信がありました。
見てくれが悪くても美味しい鮟鱇宜しく見てくれが悪い小刀が切れる事もあるのです(滅多にないけど)。
届いた小刀を見るとやっぱり切れる見た目はしていなかった。
※作った方に失礼なのは重々承知でごめんなさい
ただ、根元の部分の刃を潰している気配りなんかを見ますと刃物には精通している鍛冶屋さんなのだなと思いました。
裏には鍛接線が見えます。
裏は普通
スペックです。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・1600円(送料込フリマサイト)
鋼材・不明
全長・240ミリ
刃長・135ミリ
巾 ・21ミリ
厚み・2.2ミリ〜3.3ミリ
刃角度・30度
厚みに関してですがあまりにも先端と根元の差があるのでこのような書き方をしました。
繰り小刀は先の厚みがしっかりしているモノが多いのですが、コイツはちと心細い厚みです。
鞘には節があるしちゃんと閉まらないし、肝心の切れ味ですがこのままでは切れませんでした。で、研いでみました。
これはマズいな。
なにせいろんな部分がガタガタです、全然切れません。
砥石に当てる為には色々な部分を修整しないと駄目です。
特に刃線が真っ直ぐじゃないのがキビシイです。
刃線が真っ直ぐでないと上手く研げないんですよね。。。まぁ私が下手なのもあるんでしょうが。
どれ位刃線が曲がっているのか?どの部分が出張ったり凹んだりしているのか?
テープを貼って確認しますと真ん中が随分と出張ってますね。
坂光の繰り小刀(未使用)にテープを貼って見ましょう。
完璧な刃線です。
ピッタリ過ぎてわざとテープと刃先の隙間を開けて見えやすくしてます。
ここまで出張った刃線を真っ直ぐな刃線に手研ぎで矯正するのはなかなか骨が折れます。
荒砥で矯正したあとに剛研の#700で傷を消して響#1000でしっかりと平面を作りました。
響#3000で中研ぎをして響#8000で仕上げてみました。
革砥でカエリを取って完成です。
試し切りをしたところとても切れるようになりました。
刃線は完璧に真っ直ぐではないですがかなり矯正できました。
工作に使うにはもう少し研いでいかないと駄目ですが
焦らずやっていこうと思います。
安いデッドストック品だからこそ荒砥でゴリゴリしたり思い切った事ができるのでそういう所は好きです。
この菊一丸繰り小刀は全て売り切れになってこの記事を書いている時点では135ミリの横手小刀が少し残ってるくらいですね。
初期状態ではあまり切れませんが御自分で研げる方にとってはとてもコストパフォーマンスに優れた小刀だと思います。