福三郎・繰り小刀135ミリ・福三郎さん出生の秘密がついに明らかになった日

フリマサイトにて福三郎銘の繰小刀が5本くらい出品されまして送料込2千円前後と安かったので105ミリと合わせて購入してしまいました。
福三郎は共柄切り出し小刀横手小刀を持っていたのですが、その使いやすさと切れ味、耐久性、フォルムから、もしや三木小刀会の重鎮西口良次氏による製作品ではないか?と入手時から仮説を立てていました。
そこに飛び込んできた吉報、なんと福三郎の刻印と西口良次氏の刻印カネヨシが同時に存在する小刀がオークションに出品されたのです。これをもって福三郎=西口良次氏の製作品ということがほぼ確定しましたが、ほぼですからもう少し情報が欲しいと思っていました。
そんな折に福三郎の繰小刀が存在したということがわかって心躍りました。


出品写真にハッキリと鍛接線が写っている物を選びました。135ミリでも鍛接線が確認できない物もあり、105ミリの方は鍛接線がありません。もちろん鍛接線が無いからと言って自家鍛接をしていないということではなく、見えない部分に鍛接線がある可能性もあります。
※105ミリは別人物による製作で複合材の可能性も当然ありますがそれは105ミリの紹介記事で言及していきます(記事が出来次第リンクします)。

当サイトで何度も書いていますが複合材だからといって切れないという事ではありません。
因みにですが、「伝統工芸品」の表示をするには自家鍛接でなければ駄目だそうです(鍛接線がハッキリと目視できないと駄目と言うことではないと思います)

さて、前置きはこれくらいにして、届いた福三郎さんを拝見するとしましょう。

良い感じです。

裏にはニスが塗られています。


見事なカイサキ。

スペックは以下になります。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・2580円(フリマサイト)
鋼材・おそらく青紙
全長・240ミリ
刃長・135ミリ
巾 ・22ミリ
厚み・3.6ミリ
刃角度・約29度

西口さんの繰小刀と並べてみました。

いかがですか?
槌目模様は似ています。

カイサキの様子。

刃の根元は刃殺しされています。


まさに瓜二つ。

スペックも比較してみます。
西口氏繰小刀
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・5800円
鋼材・青鋼(1号2号は不明)
全長・240ミリ
巾・22ミリ
厚み・3.8ミリ
刃角度・29度

福三郎繰小刀
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・2580円(フリマサイト)
鋼材・おそらく青紙
全長・240ミリ
刃長・135ミリ
巾 ・22ミリ
厚み・3.6ミリ
刃角度・約29度

厚みがほんの少し薄いぶん鎬幅がわずかに狭くしてあり29度の刃角度を保っています。

二本ともとんでもない切れ味です。


箱出しでこれだけ切れる小刀を私は知りません。
※私の手に合うのでしょう。誰が使っても同じとは言えないかも。

切れ味は同じような気がしますが、、、、思い込み補正かな?いや、滑らかな感じが同じです。同じ小刀だ。

この小刀を入手する際、出品者さんの説明文がとても丁寧でした。
一部抜粋すると

金槌やバールなどを制作をされていた、ミッキー(三木市だからミッキーということか?)こと魚住工業作、福三郎の小刀、どうぞよしなにお願いいたします。

この説明文から紐解くと魚住鉋製作所→魚住工業→魚住商事→株式会社ウィングと変遷したようで、現在はコーススレッドなんかを製作販売している株式会社ウィングという会社のようです。

この説明文を読んで「よしなに」という言葉から金物問屋さんの会長職のような大先輩ではないかと思いまして、福三郎小刀について聞いてみましたところわざわざ販売元の株式会社ウィングまで問い合わせていただきまして、以下のような回答を頂きました。

当時確かに西口良次さんとお付き合いが在り、制作を依頼していたことも在ったとのことでございますが、どの時期のどの製品に西口さんが携わっていたのか特定することは難しい、とのことです。
福三郎の小刀自体は、およそ20年から40年前くらいに販売されていたものですが、こちらのお送りする小刀の製作年を特定することは難しいです。

これはありがたい。貴重な情報を頂けました。
やはりそうだったのだ。20年から40年前とアバウトではあるけれども西口良次氏が関係していたのだ。
この事と外観や鍛接線等を鑑みて福三郎繰小刀135ミリ(今回のモノについて)は西口良次氏製作で間違いないのだ。
※私は現存する問屋銘の小刀の鍛冶さんを特定する事は控えていますが販売停止となったモノについては特定することもあります。
その事によって西口氏の現在のお仕事に影響を及ぼす場合があれば記事を消去します。

残りの福三郎さんは眼の肥えた諸兄によって一瞬で購入されたようです。
2580円で入手できたのはありがたい事でした。

福三郎小刀のお話には続きがあります。
福三郎繰小刀105ミリのお話と新しい三郎、新三郎のお話へと続くのでした。
※お話が完成するとリンクが現れます。