初代坂光切り出し小刀・18ミリ

以前から私の小刀や砥石達が盗難に遭ってしまった事は小出しでお伝えしてきました。
今まで盗難届けも出さずリストも発表せずにきたのはいつかオークションに顔を出すのではないかという甘い期待を抱いているからなのです。
リストの中には初代坂光切り出し小刀21ミリが入っていました。
これ、最近(盗難にあってから2年経過後)気付きました。
・・・・・ショックすぎる。
初代坂光繰り小刀は数本持っているのですが切り出し小刀は他に持っていないのです。
いやぁ、趣味の楽器(ギター)製作に重大な支障をきたす恐れが出てきましたよ。
坂光さんの小刀は粘りと硬さと柔軟さが融合した究極の小刀と言っても過言ではないのですから。
ギターは様々な素材が折り重なってできています。
堅い木、柔らかい木、薄い木、木口部、プラ、金属etc。
柔らかい木に照準を合わせると堅い木を削ったときに欠けてしまいます。
堅い木に照準を合わせると柔らかい木は毟ったように汚くなったり一撃で割れたりします。
当然製作者は小刀を使い分けたり、鑿を使ったりして結構な手間を強いられます。
万能に近い坂光は持ち替えが最小限ですみますのでストレスがかからないんですね。


初代坂光切り出し小刀は入手しづらくなってきているのですが、フリマサイトには新品未使用品がちょくちょく出品されます。
倉庫に長い間保管されていた坂光は鋼が締まってよーく切れます(時候硬化については賛否両論あり)。


今回は18ミリが出品されていましたので購入しました。



仕様・自家鍛接鍛造
価格・3000円
鋼材・青紙1号と思われる
全長・183ミリ
刃長・52ミリ
巾 ・18ミリ
厚み・2.3ミリ
刃角度・23度

21ミリ幅よりも厚みがぐっと薄くなりますが、持った感じはしっくりきます。

さすが初代坂光!
いい小刀です。

ちょっと余談なのですが、初代坂光という呼び方に違和感を唱える方がいます。
坂井久二(故人)さんのお父さん(坂井鞆治ともじさん)も鍛冶だったのだから初代はお父さん、坂井久二さんは二代目坂光ではないのか?という考えです。
しかし、坂井久二さんのお父さんは(初代)鉋鍛冶坂光を名乗っており、その跡を継いだのは坂井久二さんのお兄さんでして、二代目鉋鍛冶坂光を継承されました。
その後お兄さんは戦死されまして鉋鍛冶坂光は廃業してしまいました。
その後小刀鍛冶として独立した坂井久二さんは新たに小刀鍛冶坂光としてスタートしたのです。
ですから初代小刀鍛冶坂光=坂井久二さんで間違いないです。
※外栄金物元会長より教えていただきました。
外栄金物は大納言という問屋銘で坂光小刀をたくさん世に出しています。
今回のモノも大納言が副銘になってますね。

余談ですから知らなくてもいいことですが出品商品の説明を見て迷わないよう気に留めておくといいかもしれません。