先日5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の肥後守スレッドを覗いてみると久しぶりに書き込みがありました。
なんでもその方は、カネコマ藤巻(細工)小刀を購入したらしいのですが表示されていた寸法と違っていたらしいのです。
永尾駒製作所のサイトに厚みは4.5ミリと書いてあるのに実際には4ミリしかないと。
132 名前なカッター(ノ∀`) sage 2020/07/08(水) 18:04:14.70 ID:tR7owpcW
藤巻きナイフを買ったら永尾かね駒製作所のHP記載の寸法とずいぶん違った。これは誤差の範囲?
HP記載:全長17cm/刃渡り6cm/刃厚4.5mm、実測:全長17.5cm/刃渡り7cm/刃厚4mm
私が持っているカネコマ細工小刀は同じ形でも2種類の寸法がありましたので、その事を書こうかと思っていましたらどなたかが以下のような返信をしていました。
133 名前なカッター(ノ∀`) sage 2020/07/09(木) 22:57:45.86 ID:ocSoskOh
2種類ある。
問屋の発注で寸法違うのかな。
ヤフオクだと寸法載っててどちらも売ってるから両方買って比較すると楽しいよ。
ワタクシ?笹刃とトンガリのサイズ違い4本持ってます。
更に5代目と4代目があるのでその辺の比較も楽しいかと
・・・・まぁ、肥後守にそのような精度を求めるのはちょっと違うのでは?精度を求めるなら鍛冶屋さんに直接お願いするなり、なんなりとしなされ、という意図があるように思える返信でした。
すると、
134 名前なカッター(ノ∀`) sage 2020/07/10(金) 01:53:44.75 ID:cANVnO95
問屋の発注で寸法違うのかな→寸法指定とかないです。ってか自分が問屋です。お客様に指摘されて困ってます。
ヤフオクだと寸法載っててどちらも売ってるから両方買って比較すると楽しいよ。
→ウソ。いつ両方載ってたんだよ。歯厚4mm 全長 約180mm、ブレード長さ 約70mm、刃厚 約4mmのもの以外はずーっと載ってません。。
ワタクシ?笹刃とトンガリのサイズ違い4本持ってます。→そうかよかったな。
更に5代目と4代目があるのでその辺の比較も楽しいかと
→楽しくない。これは5代目しかつくってない。
妄想回答ありがとう。
・・・・なにか癪に障ったのでしょうか、このような怒りの返答がきていました。
うーむ。。。他人事ながらちょっと検索すればわかるのになぁ。。。。と思ってしまいました。
何故か購入した人から問屋さんに変わってしまっているし。。。
ヤフオクで検索すれば2種類のサイズが出品されていますし、当サイトでもかなり前にこのような記事を書き5代目の台詞等を紹介したのでした。
まぁ、その後自称問屋さんからの返信はないようなのでなんとも言えませんが、出張中で手元に違うサイズがありませんでしたので一本購入して改めて比較してみることにしました。
なにか良いアドバイスを送れるかもしれませんしね。
しかし、この比較で新たにおかしな事がわかったのでした。
新購入先のハーテイーエクスプレスと、以前から持っていて出張にも持ってきていたミリタリーショップレプマートというところで購入したものです(リンクはアフリエイトリンクではありませんので存分にご覧ください)
ハーテイーエクスプレスのサイトにはこのように書かれていました。
【 製品仕様 】
品名 : 肥後守 籐巻きナイフ 角
全長 : 約170mm
刃渡 : 約60mm
刃厚 : 約4.5mm
材質 : 安来鋼青紙
ですが、実際の商品サイズは
全長 : 約170mm
刃渡 : 約60mm
刃厚 : 約3.5〜4mm
あれ?厚みが違う!説明より薄くなってる!
一方ミリタリーショップレプマートのサイト情報は
タイプ 丸型、角型
サイズ 全長 約180mm
ブレード長さ 約70mm
刃厚 約4mm
重量 約82g
ブレード材質 青紙 割込み
となっていますが、実際は
サイズ 全長 約180mm
ブレード長さ 約70mm
刃厚 約4.5mm
と、実寸が厚くなっています。
なんと、まるで入れ替えたようになっています。
今まで気づかなかったなこれは。
もう、肥後守公式サイトの数値とか、そういう問題じゃあないですね。
異種混同ハイブリッドになっています。
いったい何種類あるのでしょうか?
刃物は刃角度によって切るものを選択する方が多いです。
包丁を例にとると、魚の骨を叩き切る出刃包丁、野菜を切る菜切り包丁、柔らかい身を繊維を崩さずに切る刺身包丁とかね。
絶対に他の用途に使えないかというとそういう事ではなくて、菜切り包丁で出刃のように骨をガンガン叩いてもいいのです、ただ確実に欠けまくって下手をすると修復不能になるでしょう。
刃物に関しては大は小を兼ねるという言葉は当てはまらない場合が多く、職人経験を積めば積むほど用途に応じた刃物を揃えているものです(蛸専用の蛸引きとかね)。
木工刃物も同じです。
クビレた部分や狭い場所に大きな刃物は入らないですし、杉のような柔らかい木材に鈍角な刃物を当てても切れ味は不愉快なものになり、仕上がりも惨憺たる結果になるでしょう。
逆もまた真なり、柔らかい木材用に使っている刃物で樫などを削ると一刀で欠けてしまいます。
職業を問わず職人を名乗る人において道具を多く持たず、刃物一本と腕があれば事足りるなどと嘯(うそぶ)いている人は信用できません、十中八九ギャンブルなどに収入を使ってお金がないので道具が買えない人と思っていいです。
人に道具を借りるなどもってのほか、この行為を恥ずかしいと思えない人は職人失格なのです。
話を戻しますと、このように代用がきかない刃物ですから、記載されているデーターから導き出せる刃角度は重要になってきます(本当は手に取って見て買うのがいいのでしょうけど街の刃物屋さんも少ないですしね)。
0.2〜0.3ミリの誤差ならばともかく1ミリも違うと刃角度が大きく異なってしまい、対象物が変わってきてしまいます。
今回の細工(藤巻)小刀は竹細工等に最適という謳い文句ですから刃先は鈍角であるべきだと感じました。
おおよその目安になりますが、小刀の刃角度と対象物は
18度〜紙、桐など
22度〜杉など
22度〜25度〜マホガニー等の中堅材
25度〜30度〜樫、黒檀、竹等の堅木
もちろん絶対ではありません。
20度の刃先を二段刃(小刃)にしたりハマグリ刃にして堅い木に対応することもできます。
ただ、薄刃で堅い木を切ると薄い背中(峰)が親指の腹に食い込んで痛いなどの弊害があります。
では、幅が同じくらいで厚みが変化すると角度はどれくらい変わってしまうのか?
今回の二本の切り刃のスタート地点から刃先までを計測すると2.8ミリの差がありました。
同じくらいに見えてもけっこう違いがありますね。
刃角度にどのように影響しているのでしょう。
三角定理の法則だと同じ厚み(底辺)で辺(切り刃の長さ)が長いと鋭角になりますので製作者である鍛冶屋さんの意図が垣間見れるポイントでもあります。
ハーテイーエクスプレスで購入した小刀は19.6度。
ミリタリーショップレプマートで購入した小刀は25度でした。
ハーテイーエクスプレスの方は刃先に凄まじい小刃が入れてあって刃先だけ鈍角に仕上げてあります。
研ぎはとても綺麗で、そりゃぁ、天然砥石で研いだ綺麗さではありませんが、一度でもグラインダーを使った事がある人が見たらそれはそれは神業と言っていいほど迷いのない研ぎあがりです。
しかし、それはそれ、約20度+小刃の小刀では竹を削るのは辛いと思います。
もしかして、たまたま薄くなってしまったのだろうか?製品にはバラツキがあって薄かったり厚かったりがあるのだろうか?
思い切ってハーテイーエクスプレスさんに問い合わせしてみることにしました。
恐れ入ります、先日ヤフオク経由でカネコマ細工小刀を購入しました○○(私の名前)という者です。
商品の説明に厚み4.5ミリとありましたが、実際に計測すると3.5ミリしかなく、仮想計算していたよりも刃角度が鋭角で硬いモノのを切る想定が崩れて困ってしまいました。
これはたまたま誤差で薄い商品で、厚み4.5ミリの商品というのは他に在庫があるのでしょうか?
もし、あるのでしたら手元の3.5ミリのはこのままで良いので4.5ミリの商品を新しく購入したいのですがいかがでしょう?宜しくお願いいたします
翌日返信メールがありました。
お世話になります。
株式会社ハーティプランの○○と申します。
この度はご迷惑をお掛けしており申し訳ございません。
メーカーに確認しましたところ、
現在の商品は改良が行われておりまして、
刃の部分のみ鍛造を行っていたところが、
刃と鎚目の部分、全面を鍛造していますとのことでした。
4.5mmのものを鍛造して凡そ3.5mmになっており、
現在製造しておりますのがこちらの商品のみになります。
ご確認のほどよろしくお願いします。
うおおお!改良ですと?
厚みのある方の藤巻小刀で苦情でもきたのでしょうか?料理に使えないとか?魚を捌けないとか?
もう、厚みのある藤巻小刀は在庫分だけになってしまうのか。。。。
全体に鍛造を施したという事は、4.5ミリの複合材(利器材)を赤めて、叩いて叩いて意図的に薄くしているという事になるのでしょうね。
鍛造によるマルテンサイト化の促進ということもあるのかもしれない。
それだったら5.5ミリの複合材を叩きまくって4.5ミリまで落として作った藤巻小刀厚刃という選択をユーザーに与えて欲しかったと思うのは私だけかなぁ。
モーラナイフやオピネルナイフはいつまでも変わらない。
もし変わるなら新しい型番が誕生するという、ユーザーが目的によって選択できるシステムが構築されている。
そこまでの事を永尾駒製作所に求めるのは酷というものか。
私が思うに、完璧なる精度を求めるなら木型を製作して角度の指定等をして鍛冶屋さんに依頼するのがいいかと思います。
値段は最低でも一万円前後になると思います。
また、納期は長いと思います(実際私は注文して三年も音沙汰の無いのがあります。忘れてんだろうなぁ)。
直ぐに欲しいという方は肥後守に限らずですが販売店に詳しく聞くのが一番です。
手元に届いてイメージと違う刃物はがっかり感が底知れないですから。
・表示はある程度正しいのか
・刃角度を計測して欲しい
・堅い木を切りたいので○○度に近い刃物を探している
・バラツキのないよう表示
と同じ(近い)商品を送って欲しい
といった事を念入りに聞きましょう。
何本も小刀を持っているなら問題にならない事も、趣味の工作に使う数本の小刀ならばいくら神経を使っても無駄ではないのです。
当サイトでも何度も書いていますが、肥後守は木工仕事には使わず、野外で魚を捌いたり小枝を切ったり、鉛筆を削ったり日常使いに最適だという私的判断をして使っています。