カネコマ細工小刀丸型

最近、なかなか小刀を入手できずにいます。
以前のように頻繁にオークションに切り出し小刀等が出品されないのもありますし、たまさか出品されても入札が大量にあって高騰してしまうのです。
高騰といっても適正価格より少し安いくらいなので買い得なのですが、良い物を安く仕入れるという愉しみが満たされずに悶々としている次第です。

そんなある日、フリマサイトでカネコマの細工小刀(藤巻)が定価より安く送料込みで出品されていましたので購入してみました。
実はこのシリーズ一本も持っていなかったのです。

打ち明けますと私、カネコマといえば肥後守以外無しだろう!という偏見があり、肥後守で用足りているのだからあえて値段が4倍も5倍もする小刀を購入する必要は無い!と常々感じていたのでした。

例えるならば自動車メーカーSUZUKIで軽自動車以外を購入するような冒険はできない。
トヨタとか日産でいいじゃない!あえて軽自動車に強いSUZUKIで普通車に拘る必要性はないだろう。。。。みたいな偏見。
SUZUKIは普通車でも良い車沢山ありますよね。

偏見は良くない。
小刀を語る上で外せないアイテムではあるんですよコイツは。

そんな経緯で思い切って買ってみたのでした。


ややや!これは良いわ!
というのが第一印象!
単純だねワタクシは。
根っからの小刀好きなんでしょうな。



最近売っている同タイプの小刀は「青紙割込」の刻印の上にトンボマークが刻印されています。
今回入手したのは古いタイプのものです。
出品者の説明文にも古い在庫と書いてありまして承知の上で購入しています。
(古い鋼は切れる方向に組織変化しているはず)という私の持論もありますので積極的に買ってみたのでした。

新しいタイプとの比較では籐の巻き方にも違いがあります。


新しいタイプにはマイナーな部分で微妙に仕様が違うものがあり、刃先もトンガリ型、丸型の2種類があります。
厚みも4ミリと4,5ミリ、刃渡りも60ミリと65ミリと本当にバリエーションが豊富です。
これは用途の違いによって変化をつけたのではなく作者の永尾さんが試行しているのと販売店からの要望を聞いた結果なのだと思います。

今回入手したのは丸型です。

厚みは4ミリ
刃渡りは60ミリ
刃角度は出張中で計器が無くて不明ですがかなり鈍角です。

肥後守にありがちな機械研ぎの跡は少なく、小刃も極小で完全なスカンジグラインドと見紛う程です。
(砥石に当てていないのでもしかするとコンベックスグラインド、所謂ハマグリ刃の可能性はあります)
最初から刃が欠けているのはご愛嬌、製作者永尾さんも「研ぎ込んで使って欲しい」とおっしゃっているようです。

切れ味は良いですね。
欠けているくせに良く切れます。
早く研ぎたいな。



背中の部分が角ばっていて堅物を切るとちょっと親指が痛いです。(竹トンボ作りに最適という割にはこういう細い所が足りない気がする)
切れ味的にアウトドアで魚捌いたりできるポテンシャルは十分あると思います。
が、この小刀の売りでもある籐巻部分に水分が溜まり雑菌や錆の温床になりそうで木材以外に使いたくないというのが本音ですね。
この辺りは改造できると思いますが古今東西改造して使用している人は少ないようです。
総合的に見てもとてもお買い得感のある小刀です。

いずれ新しいタイプも買いたいと思わせてくれる結果となりました。
必ず比較記事を書きます。