新潟の老舗刃物問屋さんが倒産した影響と思われる清房小刀のオークションサイト大量放出、小刀好きは歓喜したに違いないでしょう。
〜清房小刀について〜
勿論私も何本か落札させて頂きました。
そのうちの一本なのですが、コレ、見た目のインパクトが凄いです。
形からすると鰻裂きに似ています。
一口に鰻裂と言いましても何種類もありまして大阪型なんかは切出しに似た形をしているのもあってそのまま木工用として使用する方も多いです。
画像は登亭様より
こちらの写真からするとサイズ的には「ドジョウ裂き」とするのが妥当でしょうか。
持ち手の柄は完全に木工用のそれで、仮にこの小刀が鰻裂きだとすると小刀なのに包丁の柄を搭載した林昭三切出し小刀の逆をいく癖強な小刀と言えましょう。
スペックはどうでしょうか
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・3480円(落札)
鋼材・不明ですが青紙という説有り
全長・285ミリ(鞘込み)230ミリ(鞘抜き)
刃長(刃渡り)・120ミリ
巾 ・27ミリ
厚み・1.7-3.4ミリ
刃角度・17.8度
重量・116g(鞘込み)77g(鞘抜き)
木工用とするには刃角度が鋭角過ぎるような気がします。
そこで鰻裂きの刃角度について調べてみたのですが鰻裂きは15度程度の切刃に45度〜50度の二段刃を付けて骨を断ち切る強度を持たせるのが通常のようです。
この清房小刀も刃先が二段刃になっています。
ここで小刀好きの癖に鰻裂きも持っていないのか、という声が聞こえてきそうですが鰻裂きって高いんです。オークションで入札を試みてはいるのですがいつも高騰して諦めて現在に至っていまして入手次第紹介しようとは思っています
そんなのですからどうにも比較しようがなく、また実際に鰻を裂いた事もないので現時点で今回の小刀の用途は分からずじまいなのでした。
どなたか知ってらっしゃる方がいらっしゃいましたらX(旧ツイッター)のDMでご連絡下さい。
さて、今一度観察して観ましょう。
鞘の締りが悪いのは御愛嬌
刃線は曲線になっています。
鍛接線は荒く隙間があるのは清房の代名詞
磨き線は斜めのこれまた清房代名詞
裏はいい意味で?野暮ったい
切れ味は如何なものか、軽く研いでみました。
本当に軽くです3分くらい当てただけ。
今後どのように研いでいくかプランを立てるためのファーストコンタクトです。
清房小刀は得てして歪みが多く硬いイメージがありますが、この小刀については歪みは相変わらずですが砥石当たりが凄く柔らく研ぎやすいように感じました。
凄く滑らかに切れます
X(旧ツイッター)で相互フォローして頂いている小刀収集家の方も同じ小刀を持っていて、やはりとても切れると言っていました。
木工に使うには刃元部分が危ないので刃殺ししてから使うと良いと思います。
清房は見た目などを気にしない切れ味優先の方にはもってこいの小刀だと改めて思ったのでした。