三木の池内和明氏の製作した小刀です。
池内さんは三木桜印という銘の小刀を製作されていたお父様の跡を継いで一時期は三木小刀組合にも所属していたそうです。
三木の古式鍛錬の儀式にも名を連ねておられた三木鍛冶界の重鎮。
現在は廃業されているようですがオークション等で稀に出品があります。
第一印象は、、、失礼ですが変哲もない普通の利器材の繰り小刀という感じ。
鞘もブカブカで刃先は欠けが数カ所あって、まぁ、自分にとっての資料的なものだなと思ってしまいました。
仕様・利器材火造り(?)
価格・2000円(オークション落札価格)
鋼材・不明
全長・253ミリ
刃長・137ミリ
巾 ・21ミリ
厚み・2.2-3.2ミリ
刃角度・27度
重量・88g
大きめの小刃が入っていて更に切れ味が悪そうな予感ですが、実際に切ってみると驚く程の切れ味です。
刃角度が27度ですから小刃の角度はそれ以上、29度から32度くらいだと思うのですが切れ味が軽いのです。
機械研ぎの跡が残っていて欠けのある刃でこんなに切れるなんて、、、、研ぎというものが分からなくなる瞬間です。
しかしこのままでは欠けた部分が引っ掛かるので研ぎましょう。
「あらとくん」で小刃を消していくと同時に欠けも修正していきます。
大きな欠けは赤門前という天然砥石を使ってみたりします。力を使わず舐め取るように欠けが消えていく砥石です。臭いのが難点。
仕上げ砥石までトントン拍子で進み簡単に研ぎ上がりました。
ん?柔らかいのかなこれ?砥石の反応が凄くいいです。
こんな柔らかい感じで刃は持つのだろうか?
なんだか面白い小刀です。
柔らかいのか柔らかいと勘違いするほど研ぎやすいだけなのか判断に悩みますが、とにかく試し切りをしてみます。
凄く切れます。
引っ掛かりがなくスルスルと切れる。
これは切れ味指数が高い!
刃角度が27度という事で切れ味と耐久性を兼ね備えていそうです。これは作業で自然と手が伸びる一本になりそう。
和明小刀は各所に秘伝でも使っているのでしょうか?研ぎやすく刃持ちも良い小刀で気に入りました。横手小刀なども入手したいと思いました。