気がつけば青紙信仰に毒されていた話・守谷宗光・共柄切り出し小刀24ミリ

研ぎやすくて甘切れする小刀、それは黄紙や白紙二号なんかが良い。
という言葉は小刀好きの諸兄ならば一度は聞いた事があるのではないでしょうか?
甘切れ、、、とはどういう状態でしょうか?
ネットで検索するとGoogle検索:甘切れ諸説ありますね。
白紙を甘切れするという説と青紙こそが甘切れするという説。
日本刀の古い書物で既に甘切れという言葉が出てくるということは青紙の甘切れという説は弱いかな?と思いました。
また、切れが甘い(切れない)のが甘切れという説も出てきて驚きました。
皆様は甘切れ論お持ちでしょうか?

私的には砥石に当てると直ぐに刃が付いて切った木材がツヤツヤになり欠けにくい、そんな小刀ではないかと思っていました。
これを実現するには焼入れ後の焼戻しを長めにする必要があり硬度自慢の青紙でそれをするには意味のない行動になってしまい必然的に白紙や黄紙の甘切れ刃物が多いのではないか?と素人なりに思っていました(勝手に思っているだけです)。

甘いという言葉を、「あいつは詰めが甘い」「甘ちゃん」というネガティブな使い方をするか「甘い汁」「酸いも甘いも噛み分ける」のようにポジティブに捉えるかでも意味合いが違ってきますよね。
最近の流行として硬い刃物が人気で青紙と刻印するだけで売れ行きが違うのだとか。

焼戻しをしていない最高硬度のままの鋼は本当に研ぎにくいということは刃物を自作したことがある方ならご存知なはず、流行りの硬い刃物が全く焼戻しをしていないとは思いませんが普通より硬くなるような焼戻し製法なのでしょう。
それを研ぐ砥石の発達も追い風になっているのだと思います。

これらの流行に自分は関係ない、自分が本当に好きな小刀は白紙や黄紙で作られた甘切れする小刀なのだ!と常々思っていたのですが、青紙スーパーという刻印を目にした瞬間速攻で購入してしまい自分のポリシーが薄っぺらいものだったのだな、と此の度気付いてしまったのでした。

青紙スーパー。
なんという甘美な言葉でしょう。
スーパーマン、スーパーカー、スーパーボール、スーパーマリオ等々、「スーパー崇拝世代」に育った自分ですので性能云々よりも言葉の響きが勝ってしまいました。
私が持っている青紙スーパーの小刀は盛高刃物青紙スーパー共柄切り出し小刀だけしかなく、あまり良い印象がなかったのですが、ついつい購入してしまいました。
青紙スーパー鋼の説明は今更必要ないと思いますが青紙1号の炭素量を更に増やして特殊熔解(よく分かりませんが)等を経て最高硬度HRC67まで高めた最高峰の鋼たそうです。
サビに弱いという難点はありますが切れ味には定評があります!包丁では!!!
小刀ではあまり見ないですよね?あの大きく(安来鋼青紙スーパー)と鞘に墨で書かれた横手小刀とか、、、、それぐらいしか見ないです。なんでだろう?
高価なのはあると思うのですが、最高硬度で木材に挑んでもあんまり意味ないのかもしれませんね。硬度も大切ですが粘り(靭性)も重要ですから。
守谷宗光刃物店は島根県安来市にあり、創業当初は日立金属の社内に会社があったそうです。今で言う社内ベンチャーみたいなことなのでしょうか。



スペックです。

仕様・複合材火造り?
価格・3000円(フリマサイト)
鋼材・青紙スーパー
全長・190ミリ
刃長・62ミリ
巾 ・24ミリ
厚み・2.3ミリ
刃角度・18度

薄くて鋭角な刃先、これは接ぎ木小刀に分類したほうが良いかな?

そのままだと全然切れなかったので研ぎました。

結構頑張って機械研ぎの傷を消してみたんですが傷が深くここまでにしました。

切れますけれども。。。まぁまぁ普通かな。。。気が付いたら手に持っているような相棒にはならないかな。。。

厚手の青紙スーパーがあれば入手してみたいと思った一日でした。