初代政吉繰り小刀・真鍮柄をSHAPTON・ROCKSTARで研いでみた

初代政吉は彫刻道具刃物を専門に製作する与板鍛冶・河政刃物・河野稔さんの製作。
現在(2023/11時点)は製作していないということです。
特徴的な小刀を数多く製作されていますので小刀好きならネットで一度は見た事があると思います。
今も在庫限りだと思うのですが平出刃物で購入できるようです。


今回御紹介するのは繰り小刀の真鍮流し込み柄です。

仕様・自家鍛接鍛造
価格・11000円(定価は17000円前後)
鋼材・青紙
全長・215ミリ
刃長(刃渡り)・95ミリ
巾 ・17ミリ
厚み・2.3-4.6ミリ
刃角度・35度
重量・78g

政吉さんの小刀はちょっと小さいイメージあるんですが今回の繰り小刀も小さかったです。越堂繰り小刀と比較


その事が使いにくいのかというとそんな事は無く手に馴染みますしコントロールしやすいというメリットもあるのです。
流し込まれた(というか溶かして貼り付けたと言ったほうが表現として正しい気がします)真鍮が適度にボコボコしていて心地よいグリップ感を生み出します。


銘は瓢箪に政吉(肉眼でも見にくい)





裏は繰り小刀では珍しい千代鶴型

早速切ってみると、、、前の人が使った形跡なのか小さな刃欠けが数箇所ありましてイマイチ切れない。35度の刃を欠く使い方って何を切ったのだろう?
そこで

今回はSHAPTONのニューフェイス砥石「ROCKSTAR・ロック・スター」の#1000と#3000を使って研いでみます。



ROCKSTARは#10000まではWA(ホワイトアルミナ)で作られているようで#16000はCAで作られています。
※勉強不足でCAというのが何を表しているのかわかりませんでしたごめんなさい

包丁メーカー子の日がいち早く社内全ての砥石をROCKSTARにすると発表したという事は※大人の事情もあるのでしょうが包丁向きなのでしょうか?
そもそも小刀専用という人造砥石は無いのでなんとか長所を見つけ出して小刀研ぎに使いたいものです。

えーと、説明書は、、、、無い?!


説明文は裏面にこれだけでした。
水に5分浸ける事は理解した。

この事だけでわかるかと思いますが最初から初心者を排除した砥石と言えますので初めて砥石を購入する方はSHAPTON刃の黒幕から入った方が良いと思います。分から事が出てきたらネットに情報沢山ありますしね(個人的意見)。

さて、刃欠けに重要なのはやはり研削力ですよね。
刃の黒幕オレンジでは荒砥石が要らないんじゃないか?と思えるほどの研削力でしたが、、、、これは難しかったです。
刃の黒幕オレンジはやっぱり突出したチート研削力なので比較は可哀相。
通常のキンデラ#1000と比較して同じくらいの性能はありそうです。

刃欠けは「あらとくん」におまかせして刃欠けが無くなった後に#1000にいきます。


研ぎ汁は黒くて良く出て反応は良いです。白いから目立つという事もアリ
研ぎ味は絶妙に良くない(個人的意見)ザリザリした感じで滑走が良くない。これは直ぐに慣れると思います

辛抱強く研いでいると研ぎ汁が潤滑剤になって滑らかになってきますので名倉で砥泥を出してから研ぎ始めるのもいいかも。
平面維持力は良い方だと思います。今回の研ぎ作業では「SHAPTONなおる」は使わずアトマのタッチアップだけで済みました。
仕上げは鋼がキラキラして地金はやや黒くなります
早い段階でカエリが出ました


#3000に移行します。
刃の黒幕では#1000→#2000といくとその後は#5000に飛んでいたので間に挟む番手にはいいのではないでしょうか。


#3000にしては研削力が高く、鋼部分がキラキラに仕上がります。
平面維持力は少し弱いかな?
少し柔らか寄りなのでしょうか?もっと使い込まないと結論付けはできないですが多めに平面出しをしながらの研ぎ作業になります。

平面出しはストレート・エッジを当てて光の漏れを確認して「SHAPTONなおる」やアトマで平面を出して何度かストレート・エッジで確認します。
ストレート・エッジの向こうにはライトを置いていますが、これは撮影用ですから普段は太陽光や蛍光灯にかざして確認します。※分かりやすいように意図的に隙間を開けて撮影しています




横面に番手が印刷してある嬉しい改良点。刃の黒幕はグリーンなのかメロンなのか混乱する時がありましたのでありがたや。


カエリが出るのが早い。それだけ鋼部分に効いているのかな?
短時間で刃が出ました。
このままでもそこそこ切れるのですが少し物足りないかな?
仕上げは刃の黒幕#5000→#8000と繋げて仕上げました。



SHAPTON開発部の方が膨大な時間を掛けて満を持して登場したROCKSTAR、たかだか数時間使用して評価というのも失礼な話ですが小刀に必要な平面維持力はありそうです。
速攻で鋼に作用してくる感じは研ぎマニアに向けてでは無く職人に需要が増えそうに思いました。
今回は#1000と#3000しか購入していないのですが他の番手も揃えてみたいと思える結果でした。
揃えて使ってまた報告します。
※砥石の使用感を伝えるのは難しいですね。結局研ぎ汁撮すしかないのですから

政吉に関しては35度という刃角度がやっぱり躓く感じで観賞用に寄った小刀なのかな?と感じましたが鉛筆削りなんかには合いそうですね。

追記:SHAPTONをSYAPTONと誤表記していたので訂正しました