少し前にちょっと珍しい坂光の共柄繰小刀を紹介しました。
この記事でも触れていますが共柄繰小刀は観賞用では結構あるんです。
実際に使用するようなものとなると現在新品を入手することは難しいのではないでしょうか?
そんな時にネットショップで見つけた三木章の共柄繰小刀です。
古い在庫と思われ、安かったので試し買いです。
三木章は複合材(利器材)のプレス物が多く龍の刻印が入っていて、それが購買意欲を削いでしまって、ちょっと購入を控えていたのですが實光刃物の竹小刀に三木章の刻印が打たれているのを見つけていつの間にか所蔵していた事に気づいた次第です。
三木章は長池廣雪(廣行)さんがお父様から家業を継いで今も続いている老舗です。
メインは複合材の彫刻刀や小刀ですが元三木小刀組合の組合員で伝統工芸士でもある長池廣雪さん自らが手打ちで誂える小刀は今も入手可能です。
手打ち小刀の製造工程を本物の鋼で忠実に再現した額入りのモノを見たことがある方は多いと思います。
ホームセンターで見かけるパワーグリップ彫刻刀も長池廣雪さんが考案したとか。
更に海外のネットショップでも三木章製品を多く見かけますのでかなり手広く商売されているようです。
某国営放送の彫刻講座のテキストでは推奨入門セットに三木章のモノが紹介されていたりして、会社のメインは複合材で大量に安定供給しているイメージですね。
今回の共柄繰小刀ですが「本職用」と謳っています。
1750円の値札が付いていました。古いものだと思いますが、毎日刃物を研ぐような竹細工職人なんかは安くて鋭角な刃先のものを使いますので本職用ということに偽りはないと思います。
私が訪ねた竹細工職人の多くは池内刃物の美貴久小刀を使用している方が圧倒的に多かったです。
You Tubeでイクパスイというアイヌ民族の祭具製作風景の動画があるのですが美貴久が出てきて驚きました。
4分27秒と9分30秒に出てきます。
彫刻刀でやるような事を器用に切り出しでやってます。
スペックを見ていきましょう。
仕様・複合材プレス物
価格・2250円(定価は1750円)
鋼材・不明です
全長・180ミリ
刃長・120ミリ
巾 ・18ミリ
厚み・1.7ミリ
刃角度・26度
厚みが薄いので刃角度も鋭角というイメージがありますが26度と普通に角度があって驚きました。
必然、鎬部分の距離が短いです。
手にとってみてズッコケました。
持ち手が短すぎて力が入れにくいのです。
手を怪我しそうです。
これはこれで用途もあるのでしょうけれども私の場合は柄を作ることにしました。
最近お気に入りの細身グリップにしてみました。
材料を切り出し
厚み分彫り下げます
ニ種類の接着剤を使用して貼り合わせました
丸く整形します
今回は人造砥石だけで研ぎ上げました。
シャプトンオレンジ→シャプトンエンジ→KING G1
天然砥石も当てたのですが私の腕のせい+相性のいい砥石が無かったので止めました。
中々研ぎ上げるのが難しいです。
せっかく研ぎ上げても少し木材を切ると刃先が白く摩耗します。
中々気まぐれ屋さんですねコイツは。
秘めたポテンシャルは感じましたので活躍する日は必ずくると感じさせてくれる繰小刀です。
杉材をサクサクと削ってみました。
参考程度に。