肥後守の刃先と対話したらとっても良いことがあった

片刃肥後守の切れ味がどうにも気に入りません。
刃先が脆すぎてとてもではありませんが鉛筆削りなどは無理。一回で刃先がボロボロになってしまいます。

元々刃角度が21度と鋭角であるのと私が提唱している作り立ての刃先は脆いというのが関係しているのか
(※注:焼入れ時に薄い刃先が脱炭している可能性と機械研ぎで刃先が焼き戻りしている可能性があり箱出しの刃先は脆いのでは?という私的意見です。)
とにかく小刃を大きめ(鈍角)に入れないと使い物になりません。

小刃が大きいと刃持ちはいいのですがスカッと切れない感じがあるんですよね。

そこで小刃を消すためにフルスカンジ(ベタ研ぎ)にするのですがそうすると刃先が欠けてボロボロになるという悪循環が起きてしまうのです。
もしかして研ぎ減らしていくと丈夫な鋼が出てくるのかもしれません。
しかしですね、研ぎ減らしてる時間なんてないのです。我々には。
購入して直ぐに使いたいのですね普通は。
明日アウトドアに持って行きたいし、今荷ほどきのダンボールをカットするのに使いたいのです。

そこでフルスカンジよりも強く小刃よりも切れる刃先作りを考えるのですが、そのような魔法の刃先は存在せず、できることと言えば小刃を小さくしてフルスカンジに寄せて最強の妥協点を探るしか無いと考えます。(まぁ、コンベックスという手があるのですがこの研ぎはなかなかに難しく一般的ではないと考え今回の記事を書きました)

詳しく解説しますと

刃先部分に入れられた小刃

ご存知かと思いますがこれは砥石に対してベッタリ付けたあとに2ミリほど起こして研ぐとできるのです。

起こせば起こすほど丈夫な刃先になりますが切れ味が落ちます。

ブレないように保持して研がなければいけませんのでほんの少しだけコツが必要です。

この少しのコツというのが抽象的でモヤモヤ感がある方が多いようで、10円玉を2~3枚挟むイメージでとよく言われますが2枚なのか3枚なのか、包丁のように刃幅が広くない小刀ではどれくらいの場所に合わせればいいのか、ハッキリしてくれというのもありますし、その角度を正確に維持するためのハウツーには一切触れていないアドバイスがありがた迷惑だったりして。

私なりにいいアドバイスはできないかとアレコレ考えまして角度確認治具のようなモノを自作して試したりしたのですが如何せん肥後守という刃物が小さくて刃幅が狭く(切り出し小刀も同じ事が言えます)、このような治具を使うことのほうが高度な技術を要してしまうという本末転倒な結果になってしまい治具を使用するのは断念してしまいました。

また、研ぐと言ってもガシガシ研ぐ感じではなく、すいーっと十数回優しく撫でるようにやります。
これで十分に小刃が付くのですね。
だからガチガチに力まないのでブレも少ないと思います。

私は#1000で一度ベタ研ぎをして#2000~#3000で刃カエリを取り(裏をペッタリ付けて研ぐという意味)その後に小刃を入れます。


仕上げ砥石でもう一度同じ事をします。
小刃を研いでも刃カエリが出ますのでカエリを研ぐために裏を研いで革砥でもう一度カエリを取って完成です。

そして一度試し切りをします。

躓く感じがするならば小刃の角度が大きいか小刃そのものが大きいかなのでもう一度ベタ研ぎをします。
完全にベタ研ぎをしてもいいのですが小刃のある状態でベタ研ぎをしていくと小刃が小さくなってくれますので都度試し切りをして妥協点を見つけていきます。

刃先が強くて切れ味がいいポイントを探ります。
要はベタと小刃のせめぎ合いなのです。

少しベタ研ぎしては試し切りをする。。。。この時間がなかなかに心地よいです。
どういう風に研いだら切れるようになってくれるんだい?何が気に入らないんだい?
心の中で何度も呟きながらベタ研ぎと小刃研ぎを繰り返します。

普通は数回も繰り返せば良い状態の小刃が完成します。

角度を変えて強さを変えて砥石を変えてああでもないこうでもないとやっているとあっという間に時が過ぎてしまいます。

今回裏はあまりいじらないです。
なぜかというと身厚が肉薄ですからあまり裏を研ぎすぎるとダメになるからです。


表を研いだ後は刃カエリが必ず出ますのでその時は裏を研ぐのは必須ですから自然に綺麗になるのを楽しむのがいいかと。そうじゃないと裏が無くなってしまいます。

苦労して妥協点を見つけた刃先は肉眼では見えないほどの小刃が付いているのでした。

冒頭で時間を掛けずにすぐ使いたいとかぬかしてましたが実際何時間もかかってしまった。
でもそれに見合う切れ味になりました。