岩崎重義作の横手小刀です。30年くらい前の製品です(作品とは言わない、あえて)。
幅が15ミリと小さな横手小刀です。珍しいですね。
岩崎重義さんについては
岩崎重義物語を是非読まれてください。
金属の組成の探究に心血を注いできた人生が描かれています。
最近は「芽」とか「転」とか「好日」とか名前の付いた小刀が有名で、売り切れが殆どで入手困難になっています。
オークションに出たとしてもスタートが五万円くらいですのでもはや高嶺の花と言えましょう。
今回ご紹介する横手小刀はコレクターからは人気のなさそうなモデルです。
15000円即決でした。
調べてみても類似の小刀がなく、実は岩崎重義さんは小刀よりも剃刀が有名なんです。
岩崎重義物語にもその辺が書かれており、従業員が大量の剃刀を作っていたようです。
名前の付いたいわゆる作品と呼ばれる小刀には「岩崎」の刻印がされていない物が多いようですが、剃刀にはしっかりと「岩崎」と刻印されているものが多いようです。
Amazonより引用
その刻印と比べても字体は同じですが、どうもハッキリし過ぎているように感じます。
もしかして偽物か?とも思っています。
仕様・自家鍛接鍛造
価格・オークション15000円
鋼材・不明
全長・140ミリ
刃長・41ミリ
巾 ・15ミリ
厚み・2.5ミリ
刃角度・29度
切れ味はとても良いです。
このままでは使いにくいのでちょっと良い鞘を仕込みたいと思って刃物屋さんに問い合わせて見たのですが鞘仕込みはやってないという返事ばかりで、現在出張中の仮住まいの近所にけっこう有名な刃物屋さんがありまして、直接訪ねてみましたが丁重に断られてしまいました(I刃物製作所に問い合わせしてくれたようですができないと言われたそうです)。
という事で朴の木で自分で作りました。
助網横手小刀をメインに使用して削り進めましたが、途中から岩崎小刀自身で削ります。
気のせいかとも思うのですが、ちょっと次元が違う切れ味で、コントロールしやすく、ずーっと削っていたくなるような削り心地に思えました。
幅や刃角度が違うから思い込みかな?と思いつつ、急遽自宅から西口小刀を送ってもらい削り比べをしてみました。
やはり西口小刀の切れ味は半端ないですが今回の岩崎小刀も負けず劣らずで、助網小刀は影薄と言わざるを得なかったです(助網小刀の名誉の為に書いておきますが助網小刀が切れないという訳ではありません十分な性能はあります)。
ただならぬ実力の岩崎小刀、偽物疑惑は完全払拭できないものの、使用するには最高峰の一本になりうると思いました。