ギター好きなら誰もが知っている木材名マホガニー。
多くの、いや、ほとんどのギターのネックに使用されている。
マニアが集まる掲示板を覗いてみると
マホガニーは豆腐のように柔らかい木材です。精度が狂う事を前提に考えてください
それはそうです。なんせマホガニーは豆腐のように柔らかいのですから
豆腐のように柔らかいマホガニーをボディに使っているのですから柔らかくて甘いメロウな音がするのは当然です
なんと!木材が豆腐のように柔らかい!という証言が山ほど出てくる。
あまりにも書き込みが多くて私自身かなり信じていた。
豆腐というのは大げさにしてもかなり切りやすい木材なんだろうなあ、と。実際にバルサ材なんかサクサクな木材だし、加工性を重視して豆腐のように柔らかいマホガニーに塗装をして強化しているんかな?と、まことしやかな都市伝説を信じていたのだ。
実際にギターを製作してみると、確かにやや柔らかいマホガニーもあるものの、ネックに使うようなマホガニーはけっこう硬くて粘りがあり、木目を直角に切断しようとすると恐ろしく硬い。
木目に逆らうとバキバキに割れ裂ける。
鬼目ヤスリをかけるといつまでも傷が消えない等、一筋縄ではいかない木材ではありませんか。
どうして豆腐のように柔らかいマホガニーなどという都市伝説が生まれたのか?
よく見ると「豆腐のように〜」の書き込みの前後にはk yairiというギターメーカーの職人の話が引用されていることが多いことに気が付いた。
そこで工場ツアーの動画を注意深く観てみると、4分50秒からのネック削り工程に答えがあった。
木目を読んだ職人が両刃ナイフ(片刃の左利き用かもしれません)を使ってクルクルクルクルと削りカスを丸めながらいとも簡単にネック材を成形しているではないか!
こういうのを素人(けして自分で木材を削ったりしてない人)が観ると刷り込まれて勘違いしてしまうのかな?
ネック削り工程での小刀の役割はあくまでも荒削りで南京鉋へとシフトしていくのがわかる。
これこそが豆腐のように柔くはないという証明になるのではないか。
もしも豆腐のように柔かったら小刀一本で自在に成形できますもの。
k yairiの人の技は凄いとして、まさか都市伝説の発端になるとは思ってなかったはずだ。
木材を豆腐のように切れる小刀があったら。。。楽しいかも!
写真は鬼みたいに粘るラワン材でネックのサンプルを作っている途中の図。
苦労します。