大は小を兼ねる
という言葉は小刀には当てはまらない場合が多いです。
適材適所を考えないとまったく役に立たないガラクタになってしまうかもしれないのです。
この小刀は小刀を買い始めた初期の段階で色々とサイズを買い集めた時に揃えたものです。
切り出し小刀にローズウッドの鞘(と呼べる代物ではありませんが)を付けたものです。
小刀の事も何もわからなく、30ミリの幅をすっぽり隠すとなると鞘が40ミリとかになってしまうので持ちにくくなってしまうのでした。
さらに、カッコイイと思って堅木ローズウッドを使用したために当時は道具をあまり持っていなかったので加工が稚拙になってしまいましたが、これを見るたびに思い出が蘇って初心に帰れます。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・5000円
鋼材・青紙2号
巾・30ミリ
厚み・3.6ミリ
刃角度・20度
個人的採点83点
コストパフォーマンス84点
刃角度が20度と鋭角ですので接ぎ木にも良いかもしれません。
このままでは堅木を切ると刃こぼれが出ます。
軟材でも節や年輪部を切ると簡単に刃こぼれしますので小刃を入れて使っています。
今ではこの小刀の事をよく知っていますので研ぎ方でポテンシャルを引き出せていますが、当初はなかなか切れる小刀にはなりませんでした。
友人にそのことを話すと
「昔から研ぎには自信がありましたので研がせてください」
というので預けると数ヶ月も帰ってこない…督促してようやく戻ってきた小刀は両刃に研がれていてまったく切れなくなってしまいました。
裏の刃先に小刃を入れる感じで両刃風にするやり方も最近海外で流行しているようですが、そのようなロジックに裏付けされたものとは程遠い仕上がりに愕然としました。
実は研ぎ屋を名乗ってお金を取る方にも片刃刃物を研げない人がいるようで、トラブルになることもあるようです。
しかたなく自分で裏を平面にしましたが相当な時間を費やして、なのに綺麗に仕上がらないほどダメージを受けてしまっていて悲しい気分になったのを思い出します。
何日もかけて凄く切れるようになった時には最高に嬉しかったです。
実用小刀というより思い出の小刀ですね。