昭三・切り出し小刀21ミリ

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質素な箱に入った池内刃物の製品。
しかし、箱書きには
「秘伝本手造作」
など魅惑たっぷりな言葉がところ狭しと書かれています。
さて、箱出しをしてみるとギザギザと傷付いた中研ぎに小刃が付いた小刀が出てきます。
「ん?切れるのこれ?」
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直ぐにいい意味で期待を裏切ってくれます。
「これは切れる!?」
いや、切れるというより削るという感じか。
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一見チープな感じなのに(実際驚くほど安く21ミリで3000円ほど)こんなに切れるのか!
突出した特徴ではなくオールマイティに軟材から硬材までこなす器用な小刀、やや乱暴に使って折れたりしたとしても直ぐに替えが購入できる便利さ。
楽器製作には最適かもしれない。
黒打ちと言われる手法で錆をある程度防いでいる。
少し光っているのは私が購入時にクリアラッカーを塗っているから。
この鈍い黒さが渋すぎる。
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仕様
価格3000円くらい(店によって差があります)
鋼材自家鍛接青紙(池内刃物に問い合わせて確認)
巾21ミリ
厚み3.3ミリ
刃角度22.5度
個人的採点82点
コストパフォーマンス上の中
「困ったときは昭三に帰る」

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気になる点は安定性に不安が少しあるかな?
ハズレを引くと全く切れない事があって過去二回交換してもらった事がある。
いくら研いでも刃がつかない事もあった。
これはerrorというか大量生産していくうちに焼戻しの工程が飛んでしまったのではないか?などと想像してみたが真相不明。
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親子3代で営んでいるのと流れ作業化をする事でコストパフォーマンスが向上しているようだ。
それにしても2000円程度から手打ち小刀が入手可能なんて嬉しすぎる。
池内刃物の美貴久シリーズは打ち抜きモノのようであるが切れ味が悪いわけではない。
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箱出し中研ぎ状態から小刃を消していくようにピンピンに研ぐと素晴らしい切れ味になってくる。
砥石はシャプトンとの相性が良く、手持ちの天然砥石では切れ味が落ちてしまう珍現象が起きてしまう(私の技量不足かも)シャプトンの1000→2000→5000で仕上げで十分に切れるようになります。

もし、残りの人生小刀が一種類しか使えなくなったらどんな小刀を選びますか?と尋ねられたら、昭三と答えると思います。
それくらい信頼している小刀です。