二代目なのか三代目なのかはっきりしない小刀 ・二代目千代鶴貞秀・乱菊

観賞用の代名詞となってしまった「千代鶴(チヨズル)型」と言われる千代鶴貞秀小刀
そもそも千代鶴是秀さん(加藤博氏)が元祖というか最初の千代鶴さんなんですね。
是秀さんの作った小刀は美術的価値もさることながら切れ味も良いそうです。
当然私は現物を持っていないので見聞きしただけです。
系譜として是秀さんに弟子入りして千代鶴を名乗る事を許されたのが千代鶴貞秀さん(神吉義良氏1908〜1999)で1949年に命名されたそうです。
この方が初代千代鶴貞秀さんということになるそうです。
我々からすると、二代目千代鶴こと千代鶴貞秀さんじゃないの?と思ってしまうのですが、理由は私には分からないのですが、初代千代鶴貞秀さんなのだそうです。

そして、初代千代鶴貞秀さん(神吉義良氏)のご子息が第三者の承認を得て二代目千代鶴貞秀(神吉岩雄氏1944〜)を1990年に襲名されたそうです。

その神吉岩雄氏に弟子入りして2008年に三代目千代鶴貞秀を襲名されたのが(本名 森田直樹氏1978〜)ということになるそうです。

ややこしいですが、この辺の事は千代鶴貞秀HPに詳しく解説されていますのでご覧になってみて下さい。
私は千代鶴貞秀小刀に疎く実は一本も持っていませんでした。
美術小刀というジャンルにあまり興味がなく切れ味がスッキリしないと欲しくないので避けてきたのですが、切れ味がスッキリしないと言うのは私の勝手な思い込みでして、思い込みは良くないのでたまに検索します。
所持している方の記事は出てくるのですが切れ味についてはほとんど情報が無く、切ってる人がいないのかな?とさえ思えてきました。
それなら自ら使って切るしかないね。となって今回フリマサイトで購入したわけなんです。

仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・18000(フリマサイト価格)
鋼材・炭素鋼?青紙?
全長・210ミリ
刃長・60ミリ
巾 ・21ミリ
厚み・4ミリ(刃先)〜4.6ミリ(持ち手側)
刃角度・31度






雰囲気は途轍も無く良いです。
カッコいい!シブすぎます。

今回紹介したタイプは二代目の刻印が入っていないのですが、どうやら三代目と重なっている期間があるようでして刻印の無い二代目作もあるようです。
私にとって千代鶴小刀は情報量が少なく、よくわからないイメージです。
乱菊と夕凪と夕霧と夕映えの違いもよくわからないし、千代鶴是秀さんは日本鋼の欠点を見出して絶対に使用しなかったそうですが、この欠点も改善されたようで最近は青紙1号を使用しているようで、使用鋼もはっきり明示されていません。
15年くらい前にアルデで売られていたモノは炭素鋼とだけ明示されていました。

さて、切れるのか?という話なのですが。。。。うーん。。。。スッキリしない!ごめんなさい、正直あんまり切れる感じでは無いです。
実は今回出品されていた方はご自分で裏押しして表もしっかり研ぎ上げてくれていたのでした。
見た目も美しく切れそうだったのですがイマイチ切れません。
これは、研ぎのせいではないな、と思いましたが一応もう一度研いでみました。



うん、驚くほどは切れないですね、普通です。
楽器の製作に好んで使うことは無いかなぁ。。。
千代鶴型の裏ですが、分類的にはベタ裏と言えるでしょう。切れ味がイマイチと感じる要因はベタ裏だからなのでしょうか?
私的意見として当サイトで度々書いていますが両刃小刀はベタ裏の片刃とも考えることができますのでベタ裏の片刃小刀でも同じ事(押しがやや重いという事はあるかと思いますが)、これが要因ではないと思います。
結局は刃角度が影響しているのかな?31度となると押しが重くなるのは当然か。
31度はかなり鈍角ですが4ミリの厚みと21ミリの幅で裏面をエグると必然的に決定する角度なのだと思います。
鋭角にすると鎬面が薄くなって穴が開いてしまいますから。

作者の意図を知りたいところです。
美術的要素と実用要素の比率はどれくらいなのだろう?私的な感想ですが8:2くらいだと思います。
実用には適さない部分、例えば持ち手部分は角が立っていて鈍角な刃角度は強く押さないと切れないのに、この持ち手だと痛いのです。

美術的要素が強いからと言って悪い事ではなく、後世に切出小刀を伝えていくという観点では大切な事だと思います。

夕凪なども購入してみたいな、とは思いました。
購入しましたらまた報告致します。