今回は4代目永尾元祐氏から2010年に5代目を引き継いだ永尾光雄氏の製作した肥後守のお話です。
当サイトでは4代目永尾元祐氏の晩年に製作した箱出しの新品肥後守を失礼ながら研ぎ直ししないと使えないけど安いから目を瞑るし研ぎ込めば滅茶苦茶切れるから許せると評していました。
正直申しまして切刃部分がガタガタでしたし、大きな小刃が施してあってお世辞にも最初から良く切れるとは言えなかったです。
※写真は切刃の長さが表裏でかなりの差がある4代目の肥後守



当サイトの肥後守の研ぎ方という投稿にはとんでもない数のアクセスがあって皆様が4代目の、特に後期の製作品との向き合い方には苦労されたていた事と思います。
巷では外注に出していた研ぎ業者の失態だとか、4代目がお年を召したので仕方のない事だとかまことしやかな噂がありましたが真相は分からないままです。
某掲示板では2000年頃から5代目がデパートの催事で肥後守を販売しているという噂があり、4代目が製造して5代目が販売しているのか!となったのですが真相は会社勤めをしていた現5代目が休日に販売を手伝っていたようです。
5代目永尾光雄さん(1966年生誕)は2010年、周囲の勧めで父の後を継ぐと決めた。何年も売れなかったが、つち(鎚)でたたいて強度と切れ味を高める「鍛造」の技術を磨くと、欧米を中心に売り上げは急増し、海外比率は半数以上に膨らんだ。
何年も売れなかった(売上ガタ落ちという事か)にもめげずに努力を継続するのは並大抵の事じゃなかったはず。
5代目になった当初は切れないと苦情が多かったそうですが、改良を重ねていくうちに徐々に某掲示板では「ん?肥後守なんか変わった?」と流れが変わってきて2018年頃に発売したVG10肥後守で「5代目肥後守は切れるぞ」と確固たる信頼をユーザーから得たのではないでしょうか。
コロナ禍のキャンプブームがさらに後押ししてまさに今、5代目肥後守黄金期到来と言っても過言ではないでしょう。
その証というか自信の表れなのか2025年くらいから刻印に「定光作」や「光雄作」と打たれたモノが出てきました。
刻印されている箇所は以前には「本割込」や「青紙割込」や「元祐作」等が銘打たれていました。
「元祐作」は4代目のお名前ですが主に特別鍛造に打たれていまして廉価版には鋼の種類を示すモノが多かったのですが「光雄作」は一般向けの2000円〜4000円の商品に
も打たれていて鋼の種類には触れていません。
調べると青紙を使っているようです。
定光・光雄作=青紙以上という解釈でいいのかな?


定光作シルバー鞘は海外向けという噂もありますが何故光雄作ではなかったのか?
英語の発音でMeToo OH(ミーツーオー)と聞こえる事から一時期ハリウッドで問題になった事件を想起させるからかな?とも考えました。
カルピス、 アメリカ進出の例
でも調べたら全然違う理由でして支援サイトの別打という事らしい。
フリマのストアで購入したけど転売品買ってしまったか。

2026/01現在の市場では定光作・光雄作・本割込・青紙割込とが混在しています(元祐作もまだ買えます)。

実は私は定光作の事を知りませんでしてフリマサイトで偶然見つけて慌てて特大を買ってみたのです。
外観を見ると少し前に購入した5代目青紙割込刻印のモノとさほど変わらないようにも見えますが先端部分の形状が少し違うようです。
でも個体差だろうなコレは。
刃に関してはこの青紙刻印の肥後守は既に改良された物凄く切れるモノですので切れ味にはさほど違いはありません。良く切れます。

定光作(シルバー鞘)特大のスペック
仕様・利器材鍛造
鋼材・青紙又はSK
全長・210ミリ
刃長(刃渡り)・90ミリ
巾 ・16ミリ
厚み・2,8ミリ
刃角度・18度
重量・66g(真鍮は2g重い)
定光作と光雄作ではどうでしょう?
刃の形状がかなり違います。
光雄作は剣聖宮本武蔵特大に良く似ていて上から1/3くらいが張り出しています。

と、ここでこの記事を書いている真っ最中にモノ創りの工程を紹介するYouTubeチャンネル・プロセスXで、なんと永尾駒製作所が紹介されていて驚きました。凄い偶然
チギリ→正確にはチキリ



鍛造する5代目


焼き入れは電気炉で。確実でミスが少ない

峰の形成はフリーハンド?!これはテクニックが必要です。個体差が出るポイント


刃の外観を決めるのは全てオートマシン水研ぎ機だったのですね。道理で綺麗で正確な仕上がりな訳だ。
刃の形状の個体差は何故なんだろう?セットの仕方で微妙に違うだけなのだろうか?


光雄作になってる


仮鞘を装着してから中研ぎをするのか!



彫金はイカすお姉さん彫金師:血ゑ(CHIE)さんの手彫りだった!これは驚きました。レーザー彫刻だと思ってました。




仕上げ研ぎ。良く観ると小刃の角度が裏表で違うのが分かるが個体差が出やすい工程ですね。


社屋は新しいし社員さんは沢山いるみたいだし私の脳内イメージ=家内工業で細々と経営している会社、とは大きく違っていました。
自動水研ぎ機で正確に切刃を作ってから小刃を円砥石で仕上げするという工程も納得しました。正確で美しい形状だし箱出しで切れるのも当然ですよね。

上の方でも書きましたが動画を良く観ると右利きの人が使う場合の下側は上側よりも鋭角な小刃を入れているようです。
この工程や峰を形成する工程はフリーハンドなので個体差が出るかと思います実際複数本の新品の小刃の大きさを観察すると一定ではない事が分かります。
刃先の白く写る部分が小刃です。






私は表の小刃を小さくなるように調整して裏側の小刃を研ぎ落として使っていますが恐ろしく切れるようになって強度も十分です。
小刃の落とし方はこちら等を参考にしてください。



切刃の角度が鋭角なのも関係してヤバい切れ味なんです。
これはOpinelなんて比較にならないですね。
実際フランスで特集記事が書かれてから爆売れしているそうで、納得の切れ味です。
既に光雄作は品薄になっているのでプロセスXで紹介された事で益々品薄になりそうです。

因みに私のオススメは特大の割込。SK鋼ですが切れ味、耐久性になんの問題もなくコストパフォーマンスが高いので気に入っています。
