兼重接木小刀・接木小刀の可能性を考えた

フリマサイトでとても心を奪われた接木小刀がありましたので思わず買ってしまいました。
接木はやらないのに、です。安かったし。
昔の在庫らしいのですが大量にあるようで一本1300円で3本3900円でまとめ売りされていました。








綺麗に磨かれた接木小刀で俗に言う「田主丸(たぬしまる)型」というやつです。
田主丸というのは現在久留米市に統合された町で接木農林業が盛んな地域だそうです。
Wikipedia田主丸
この形の小刀は以前から欲しかったのですが一本5千円くらいして躊躇っていたので満を持して購入。
スペックです。
仕様・自家鍛接鍛造火造り?
価格・1300円(フリマサイト)
鋼材・不明
全長・212ミリ
刃長・80ミリ
巾・21ミリ
厚み・2.2ミリ
刃角度・23度

兼重さんという銘ですが福岡県久留米市にあって現在は閉業してしまった刃物屋さんだと思うのですが今回の接ぎ木小刀が店舗兼工房で作られたものかはわかりません。
どこかの鍛冶屋さんがOEM生産したものかもしれませんけれども磨きのラインが普通とは違って独自で類を見ないのでオリジナルかなと考えています。
写真では分かりづらいですが赤い矢印方向に磨きラインが入っています。裏も同じく。切る方向にラインが入っているのは理に適っているとも言えます


私の持っている数本の接ぎ木小刀の刃角度13〜18度と比べると刃角度が隨分鈍角です。
接木は外皮のちょっとヌメった部分、中心部程は硬くない箇所をスパっと切るものと考えると23度という刃角度は異質のように思いますが田主丸地域で行われている接木にはマッチしているのかもしれませんので、いつか違う田主丸型接木小刀を入手して比較してみたいと思います。
23度ならば木工小刀としても使えるのではないか?と思い胡桃の木のククサを削ってみましたところボロボロに欠けました。


そこで刃先だけ30度くらいに研いでみました。


曲げ物用の砥石です。
研ぐのには少しコツが要りますが、成功するとかなりの切れ味になります。
ククサのカーブ部分には異常な性能を発揮します。

当然ですが刃先が曲面なので対象物には点でしか当たりませんので一回で削れる量は少ないですし平面削りは苦手です。



鉛筆削りには曲面がフィットするのか小刀史上最高の繊細な削り能力を発揮するのでは?と感じました。細密な鉛筆削りを必要とされる方に是非オススメしたいです。
丸棒削りや能面なんかにも使えそうで色々遊べそうな小刀で愉しい時間を過ごせました。