MORA・カービングナイフ106・高価な切り出し小刀なんて不要じゃないのか?とさえ思ってしまった夜

Instagramでお友達になって頂いている方がMORAのカービングナイフ120を購入されて、その切れ味をレビューされていたんです。
「凄く切れる」と。
実は私、小刀好きを公言しているくせに洋物には疎いところがありまして、MORAのキャンピングナイフなんかは持っているのですがカービングするのに洋モノ?和式でいいのだよ切れるんだから、という頑固さがどこかにあったのです。
実際一度も困った事がないのもありまして、欲しいと思った事もありませんでした。
※興味本位で購入したエテポンというカービングナイフは黒歴史となりました
ただ、このInstagramのお友達の方が随分とマニアな方でして、切り出し小刀の柄を自作する際にアイヌのマキリ小刀のような繊細な彫刻(参考動画マキリ小刀彫刻・情熱大陸公式You Tubeより)を施したり、坂光小刀や池内刃物のお話なども鋭い考察をされていまして、こいういう方が脱帽するような切れ味を放置しておいては損失になってしまうという考えに至りましてこの度購入した次第です。
この方、「購入したらカーボンスチールでがっかりしたけどかなり切れる」と書いていましたので聞いてみましたところラミネートスチールのほうが凄い切れ味だとおっしゃいます。
コールドスチールとはつまり炭素鋼の全鋼で、ラミネートスチールは肥後守のように鋼の両脇を軟鉄(MORAの場合ステンレススチールの可能性が高いです)でサンドイッチにした3枚構造という事ですね。
そこでラミネートスチールを探したのですが、なんと廃盤になってしまっているではないですか。。。仕方ないのでカーボンスチールを購入しました。
全鋼かぁ。。。。良いイメージ無いんだよな。。。
今回はInstagramお友達よりも長いタイプの106を購入しました。


120→短い106→長いという型番がブレードの長さを表しているわけでは無いので注意です。
P鞘にはサーミ人?の模様らしきものが入っています。
柄に真っ二つに入る謎意図の接着跡アリ。


刃が汚いように見えるのは錆です。後述しますが錆やすい。

スペックは以下になります。

仕様・全鋼プレス物
価格・3600円
鋼材・カーボンスチール
全長・195ミリ
刃長・90ミリ
巾 ・16ミリ
厚み・2.5ミリ
刃角度・24度

勝手なイメージでOPINELのカーボンスチールと同じで刃角度が物凄く鋭利なのかな?と思っていたのですが24度は木工寄りの角度ですね。この角度だと万能タイプで軟材から中堅木で切れ味を発揮するでしょう。実際とても軽快に切れるのです。
刃先には超マイクロベベルが施されています。

水月小刀と比較してみました。


軟材という位置付けのシダーと中堅木という位置付けのサペリを3分間ただただ削ってみました。
所々に「うんっ!」とか声が入っています。力を入れているのでご勘弁を。

MORA160でシダー削り

MORA160でサペリ削り

水月横手小刀でシダー削り

水月横手小刀でサペリ削り

削り音の違いがかなりあります。切れ味は伝わらないとは思いますが片刃の喰い込み具合や一度の削り量で何かを感じる部分はあるのではないでしょうか?

MORA106だけで削ると物凄く可能性を感じますが、比較となると歴然。
日本が誇る片刃切り出し小刀はやっぱりとてつもないです。比較すると一目瞭然だと感じてしまいました(あくまでも個人感想)。
更にMORAは刃持ちが悪いです。手元に革砥を置いてしょっちゅう砥いでやらないと切れ味の持続は難しいかな。
水月の方は無限に切れるのか?というくらい切れ味が落ちません。


もうひとつ覚悟をして購入しないといけないのが錆です。少し触れただけで翌日には黒い斑点ができて切れ味が落ちる原因になるのです。
日本の切出しの多くは黒打ちという酸化鉄で覆う技が使われていますので錆にはまぁまぁ強いのです。鋼部分も青紙は錆に強いと言われていますが白紙だって直ぐに錆びることはありませんし椿油を塗っておけばほぼ無敵ですが、MORAは椿油が役に立ちません。
磨いて一時間もすると錆びてくるのできりがありません。

屋外でマグカップを削ったりするにはカッコいいと思いますがメンテナンスは苦労するのではないか?というのが総合的な感想です。
当然料理に使ったりすると手入れが大変です。
これらのデメリットを受け入れるのであれば良い相棒になってくれるのではないでしょうか。

研いで特筆する所がありましたらまた報告します。