敏克の繰小刀135ミリ鞘なし包丁柄入になります。
5年前(2021年)に敏克銘の横手小刀を紹介しましたが、それ以降オークション等で見かけることはなく過ごしていたのですが最近三木の古い小刀を大量に安価で出品している方がいらして「敏克」「芳忠」「和明」なんかを購入された読者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
私もそれぞれを何本か購入しましたが芳忠って和明銘の池内和明さんが作ったモノじゃないの?なんて発見があったりして日本の刃物問屋銘のややこしさを痛感したのでした。


今回の敏克銘も5年前は三木鍛冶の前田敏克さんが作ったのではないか?と予想していましたが、その後に前田さんは鋸鍛冶という事がわかって小刀を作るのかなって疑問も出てきてたまたま他の小刀鍛冶が作った問屋銘と同名だったのかな?なんて思い直して既存の鍛冶屋さんが作った繰小刀の外観との共通点を探してみたのですが独自の部分がけっこうあって判断が難しいですが顕微鏡で覗いたり研いで確認してみたりして自分なりの答えを見出そうとする時間は愉しいものです。





似ていると感じた栄太郎やおけやと並べて比較してみますと刃角度は近いものの厚みや外観が違うなと感じました。


スペックです
仕様・利器材鍛造
鋼材・不明
全長・274ミリ
刃長(刃渡り)・130ミリ
巾 ・22.8ミリ
厚み・2.6-3.6ミリ
刃角度・29度
重量・68.9g


数値的には栄太郎やおけやとさほど変わりませんが少し厚く峰の形に特徴があってけっこうガッチリした作りになっています。




新品ではあまり切れなかったので研いでみると他とは明らかに違う独自性がありました。
刃角度を測定する時に光が漏れてきます…鎬が丸いのです。

これは研ぎ辛いな。
もちろん平面になるように頑張ってダイヤ砥石を当てるのですが全然真っ平になりません。
硬いのかなんなのか?少し曲面だから砥石でチャッチャッと直そうだなんて簡単な事じゃないのです。

そこで丸みを生かした研ぎに変更しますが、この研ぎ方は鈍角になってしまうので使いながら刃角度が大きく変わらないようにコントロールしなければなりません、難しい小刀ですコレは。
なんとか切れるようになるまで研ぎましたがおけや、栄太郎と比較すると鎬が均等に曇っていません。
砥石が当たっていないのです。

当たるように曲面研ぎができればいいのですが、繰小刀の鎬面の幅の狭さでそれをするのは曲芸に近いので今回は諦めました。

刃先に光を当てて白い部分がないかチェックします。
白い部分があると研ぎ残しの目安になります。

刃角度は29度ですが軟材から硬木までとても良く切れるようになりました。

今回は横手小刀も研ぎましたがこちらは素直に研げて鋭い切れ味になりました。

敏克小刀は割安でたくさん売りに出されていますが上手く研げないと切れるようにならないので参考までに。
