龍蔵・横手小刀125ミリ(角利産業)

ホームセンターを徘徊(砥石などを見ていた)していましたら、普段目にしないような場所に商品が掛けてあるじゃないですか。
清玄の彫刻刀や切り出しがあるではないですか!


シールはシワシワだし…そもそもホームセンターモノは薄手の利器材でSK鋼が多くて粗悪品もあるし…切れ味出るまで手間がかかるんだよなぁ…
と、思いつつブリスターパックから刃厚を見て見ますと


分厚い作り。
分厚ければ良いってものじゃないけど、ちょっとメーカー的に力入れてるのか?
表面には白紙二号の文字が。
白紙二号の横手小刀って意外に少ないんです。
なぜか?みんな青紙が好きで青紙を使うと売れるから。
私は黄紙や白紙が好きです。
青紙製品は硬く作っている場合が多いので研ぎにくいってのもあるんです。
焼入れと焼戻しのやり方で鋼の最高硬度を出すのも最高硬度ではなく少し落として砥当たりを良くしたり(対象材質による違いもあります)するそうです。
せっかく最高硬度を誇る青紙で柔めに作るなら最初から白紙や黄紙で作るのが得策ということでしょうか。
でも、白紙は焼入れ温度域が狭いのでなかなかに作るのが難しいらしく、腕の差が出る(というのがネットの定説)らしいのですが、焼入れ装置や磁石や高性能な温度計がありますので近頃は失敗は少ないんじゃないでしょうか。

話が少し逸れましたが、ホームセンターモノは値段的にもSK材(黄紙相当)を使用する場合が多く、白紙は珍しいと言えるでしょう。
(アマゾンなどを見るとワンランク下の製品が有り、千円ほど安いです。刃物用炭素鋼使用という表記です)
裏には鍛造の文字が見て取れます。


値段も手頃だし、好奇心で購入を決めた次第です。



正直な気持ちとしてあまり好きにはなれない槌目。
大きな槌目跡ですね。
どんな道具を使用して付けた槌目なのでしょうか。

仕様・鍛接鍛造槌目(厚みから考えて利器材には思えないという推測です)
価格・3400円
鋼材・白紙2号
全長・247ミリ
刃長・125ミリ
巾・21ミリ
厚み・4.5ミリ
刃角度・28度
個人的採点72点
コストパフォーマンス75点

厚みが凄いです。
刃角度も鈍角ですね。
ホームセンターモノは薄手で20度前後が多いですから異色です。
バラツキかな?とも思いましたが同製品を比較しても同等に見えましたので仕様なのでしょう。
125ミリというありそうで無いサイズというのも面白いです。



刃裏もしっかりしていて全体的に無骨なイメージ。


刃先はボカシ(この場合、砥の粉をスプレーして疑似刃紋を付けること)もなく手で研いだのか?と、思えるほど機械研ぎの傷が見当たりません。


刃角度があるのにハマグリ刃気味に研いであり、そのままでもけっこう切れますね。


最初、ブリスターパックに入っている状態は鞘から出ていますが、色々チェックしたあとで鞘に入れようしたら、物凄くキツイです。
これ以上入っていかないんです


ネットのレビューでも鞘がキツイということで点数が低いのが見受けられました。
油脂ワックス塗って叩き入れたら抜けなくなって差し金でこじ開け、何度も繰り返してようやくなんとか抜き差し可能になりました。
鞘が傷だらけです。
これは普通の人じゃ抜き差しできないと思います。
こういった苦情が多かったのか鞘に後貼りと思われるシールが有り、抜けなくなったら販売店に相談するように…だって。
早急に製造工程の見直しが必要だと思います。
鞘部分は貼り合わせ加工なので見直しも簡単だと思います。
このまま放置すると近々怪我人が出るかもしれません。

総合的には研いでみたくなる小刀です。