柄のオイルフィニッシュ

私は小刀を購入したらわりと早めにラッカーフィニッシュを行っています。

化学物質で塗装する事には賛否両論あるかと思いますが、私にとって利点(汚れにくい、防水性等)が多いので選択しています。

ところが最近は塗装をすると隣の部屋からシンナー臭いと苦情がくるようになってしまって(シンナー吸引を疑われたりして)、塗装できていない小刀達が増えてきてしまって困っていました。

そんな時、スーパーで買い物をしていましたら偶然、グレープシードオイルとウォールナットオイルが売られているのを見つけてしまい、その場で検索して乾性油であることを確認してウォールナットオイルを購入しました(グレープシードオイルも乾性油ですがなんとなくウォールナットオイルを選択)。


ウォールナットオイルはいわゆる胡桃油なんですが、昔から蕎麦切り包丁の柄や麺棒等に塗ったり家具のオイルフィニッシュに使用されてきた実績があるというのは知っていました。

私も以前は同じく乾性油の中では堅牢性の高いリンシードオイルを使っていた時期がありました。
しかし私が求めている堅牢(強固)性にやや足りないところや、乾燥性に難がある部分が気になり敬遠していたんです。
更に、ギターを製作すると色のある銘木を扱うことが多く、持ち手が直ぐに汚れてしまうというのが決定打でした。

ただ、オイルフィニッシュは杢目が浮き上がりとても美しく仕上がるので捨てがたいところもあると感じてはいました。

そこで今回苦情をきっかけに、乾性油の中でも堅牢性のやや低い部類の胡桃油を使ってみて防水性や防汚性などを再確認してみようかなと考えた次第です。
堅牢性が低いということは後で気に入らない場合剥がしやすいでしょうし。

よく勘違いして、OPINELをオリーブオイルに漬け込んでいる方がいるようですが、OPINELドブ漬けや柄に塗るオイルは食卓にある油ならばなんでもいい訳ではありません。
油には乾性油と非乾性油がありまして、OPINELドブ漬けや柄に塗るオイルは乾性油を使います。

乾性油の代表的なもの

・リンシードオイル(亜麻仁油)
・ポピーオイル(けし油)
・ウォールナットオイル(胡桃油)
・グレープシードオイル
・紫蘇油(入手困難?)
・荏油(高価で入手困難?)
※サフラワー油等も乾性油ですが食卓にあるものは混ぜ物が多いのか乾燥しない場合があるので注意です。

オイルフィニッシュを初めて試す方はリンシードオイルを画材店で入手するのが無難です。
リンシードオイルはやや乾燥が遅くて粘り強いので扱いにくいかもしれません。
乾燥を早める目的で日光に晒したサンシックドリンシードオイル等も売っています(ホルベインというメーカーが確実です)。
また、ボイルドリンシードオイルを自分で作る方もいます。
鶏の羽とニンニクの欠片を入れて焦げないように管理しながらグツグツやるわけです。
冷ますと乾燥の早いリンシードオイルが完成です。

重合亜麻仁油(スタンドオイル)というのもありますが粘りが強く希釈しないと塗布には不向きです。

リンシードオイルは黄変が激しいのでそういう事も含めて使える方には良いと思います。

ちょっと横道にそれてしまいました。
さて、今回の胡桃油ですが、サラサラで延びが良さげです。

試しに朴材に塗布してみました。

塗布していない表

塗布した裏

同じ木材とは思えぬ程に色が濃くなって落ち着いた雰囲気になって杢目が浮き上がって見えるのが分かりますでしょうか?

これはイイね!よし!とりあえず美貴久で実験しよう!

塗布前(美貴久シールは剥がしました)

上だけ塗布

全体を塗布

ボロ布で擦り込むように塗布しまして時間は1分程度。

握った感じに違和感は無いですね。
見た目はとても美しくなり気に入りました。
塗布も手軽でいいです。

数日置いて完全乾燥(正確には完全乾燥には数年かかる場合もあります)した時のグリップ感の確認や、何度か塗布して水をかけたり汚してみる必要がありますね。

また追記します。