芳忠刃物製作所閉業・芳忠作共柄切り出し小刀22ミリ(カネ寅銘)

フリマサイトで随分と芳忠の小刀の出品が増えたなぁと思って胸騒ぎがして検索したら芳忠刃物製作所が閉業になっていました。
閉業になって在庫が流出したとは思わないけれど一種の虫の知らせなのかな。
芳忠小刀は20年以上前に初めて買って、とても良く切れる小刀に驚いて小刀集めを始めるキッカケとなったのでした。
オークションで入手したのですが芳忠の親戚筋の方が出品してらして青紙について詳しく解説されていて興味深く読ませて頂き何本も購入しました。
盗まれて行方不明中のモノもありますが今でも戦力として使っています。
もう入手困難になるのかと思ったら居ても立っても居られなくなりフリマサイトでセット売りしていたモノを購入してしまいました。


2本は芳忠だけど一本は増田っぽくて、増田はもう何本も持っているけれど背に腹は代えられずの購入ですが3本で3680円だから一本1200円だなんてほぼ無料に近いですね。

仕様・利器材鍛造火造り
価格・1300円
鋼材・青紙二号
全長・180ミリ
刃長(刃渡り)・53ミリ
巾 ・22ミリ
厚み・1.3-2.6ミリ
刃角度・21度
重量・65g

厳密には二本のうち一本は「カネ寅」銘ですが作りから見て間違いなく芳忠作の問屋銘です。




芳忠作も昔は自家鍛接していたようで今でもたまに鍛接線のある小刀がオークションに出ている事があります。


鍛接線のある無しで切れ味に違いはほぼ無いと思うのですが自家鍛接されたモノは峰の部分に行くにつれて厚みが増して作られているモノが多く使い心地に若干の違いがありまして、それは好みの分かれるところで一概にどちらが良いとは言いきれないと思います。

芳忠の小刀は鋭角傾向にあって切れ味鋭いですが初期段階では刃先が脆い傾向もあり箱出しから暫くは小刃を入れて使っています。


芳忠から池内刃物の接木小刀が販売されていた事もあって、もしかして「芳忠」は問屋銘で池内刃物が製作しているのかな?と疑った事もあるのですが自社で製作はしていたのは間違い無いようで、接木小刀なんかは池内刃物に依頼していたのかもしれません。


手にした事がある方なら池内刃物の小刀とは別物だと分かると思います。
オーソドックスに見えますがわりと独自な作りなのです。

歪みを矯正して丁寧に研ぎ上げると本当に良く切れて気持ちが良いです。
是非手にしてほしい一本です(閉業前にもっと応援しておくべきでしたが)

彫刻刀、包丁、ナタ、細工鉋、あらゆる刃物を製作販売していた芳忠刃物製作所、111年の歴史に幕を閉じてしまったのはとても残念です。
また鍛冶屋さんの炉が一つ消えてしまった。
※オークションでは包丁などがまだ出品されていますが切り出し小刀の出品は無いようです(2024/04/18現在)