名前の小刀はよく切れるのか?シリーズになるんでしょうか?新三郎さんは名前なのかな?
「保険之証」というシールが貼ってありますが、このシールは昔の与板の鉋に貼ってあるのを見たことがありますので与板の組合か何かで貼っている(加盟している製作者=鍛冶さんが貼っている)と思われます。
与板で小刀といえば真っ先に河清刃物さんが思い浮かびますが流石にこの小刀は関係ないと思います。
独自の槌目模様です。
この槌目模様ってどうやって付けてるのかご存知でしょうか?槌目なのですから当然槌を使っているのでしょうが、その槌がかなり大きいようなのです。
※画像は竹中大工道具館発刊・切出小刀〜大工道具鍛冶が込めた想い〜より。
全ての鍛冶さんがこのように大きい槌を使っているとは言いませんがこのように大きな槌だと20回くらい叩けばまんべんなく模様が付くので汎用小刀を作っている鍛冶さんは使っている方が少なからずいらっしゃると思います。
しかしあれだ、前から疑問に思っていたのですが、この槌目模様って個性を出すため以外にメリットはあるんでしょうかね。
研いだ後、水が溜まって錆びやすいというデメリットはあると思うのですが未だメリットが感じられないでいるのでした。
裏には安来鋼の刻印が有り鍛接線がハッキリ見えます。
安来鋼ってザックリだけど白紙青紙黄紙のどれなんだろう?昔はそういうのあんまり気にしなかったらしいですね。
裏ですが色付きのニスが塗ってありそのおかげで古いのに錆とは無縁でとても綺麗です。
スペックを見てみましょう。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・2020円(オークション落札価格)
鋼材・安来鋼とだけしか分からない
全長・255ミリ
刃長・65ミリ
巾 ・24ミリ
厚み・3.5ミリ
刃角度・26度
ニスが邪魔しているのか、このままでは少しも切れなかったので少し研いでみると良く切れるようになりました。
表面は凸凹ですのでもう少し研ぎたいところです。
さて、この小刀の特筆部分は裏です。
裏のRがかなりキツいです。
このような裏のRは意外と珍しいんですよ。
だから研ぎ減りした時にどうなるのか想像できないです。
坂光小刀の裏です。
今回の新三郎小刀の裏です。
そこまでキツイRじゃないかな?
手持ちの水月小刀はけっこうRがキツかった。
裏が無くなってベタ裏になったら世界の終わりのように落ち込む諸兄にはこのキツイR裏は感涙モノではないでしょうか。
ただしRが緩いにはそれなりに理由があって、Rがキツイと表を研ぎ減らした時に穴が空いてしまう危険がありますので気をつけなければいけないでしょう←気をつけようも無いのですけど。。。
今回は調子に乗って裏を押しまくったらけっこう野暮ったい裏になってしまいましたが物凄く切れるようになりました。。26度という刃角度がなかなか絶妙で柔木から硬木まで器用にこなす中々の小刀です。
※投稿当初は出品者の説明文通りに新五郎という銘にしていましたが、その後拡大観察したところ新三郎であるという結論に達しましたので訂正しました。