オークションでは利久銘の共柄切り出し小刀を四国の金物屋さんが永らく出品しているのですがずっと落札されていないです。
この出品者の方は小さな商品でも送料が高いので二の足を踏んでいました。
利久の刃物は問屋銘で最高峰の刃物に利久と銘を打っているそうです。
商標登録検索で調べてみると兵庫県の個人の方で刃物等の銘で「リキュウ」「トシヒサ」で現在も登録継続中でした。
金物の卸問屋さんなのだと思います。
なかなか良い感じの小刀だとは思っていたのです。
ある日別の方が中古の繰り小刀を出品されたていたので落札しました。
ライバルはゼロ。
この槌目見覚えがあります。
西口良次さんの繰り小刀ととても良く似ています。
※手前が西口小刀
何でもかんでも西口小刀にするな!と怒られそうですが小刀職人は少ないですし、兵庫県の卸問屋さんとなると可能性は十二分にあると思います。
ただ、西口さんくらいの重鎮となりますとお弟子さんも沢山いると思いますので似た槌目を打つ方もいるでしょうね。
裏に鍛接線が少し見えますがこの部分は西口小刀とは違います。
もう一つよく似た点がありまして刃の根元部分の刃を潰している所です。
このような握り方をしても怪我しないようになっています。
この気配りは西口小刀以外ではあまり見たことはありません。
この部分は持ち主が自分で潰す事もあるんですよね。
根元部分で切削する人にはエライ迷惑ですが私的には歓迎します。
スペックは以下です。
仕様・自家鍛接鍛造火造り
価格・2000円(オークション)
鋼材・不明
全長・240ミリ
刃長・115ミリ
巾 ・18ミリ
厚み・3.1ミリ
刃角度・29度
繰り小刀で幅が18ミリというのは細身の方だと思います。
厚みも無難だと思います。
刃角度は30度以下という事で繰り小刀にしては少し鋭角な方ですかね。
中古ということで表面が傷だらけでしたので少し研いでみました。
古い小刀ですから頂点と根元のエクボはお決まりですがなかなか良い刃が付きました。
とても切れる良い小刀です。
中古で安く出品されていたら飛びつきます。