改造された肥後守

職場で一緒になった電気工事士の方が肥後守を持っていたので肥後守談義に花が咲きました。
鞘に収まった刃を見せてもらうと驚きました。


思い切り改造しています。
なんでも電線の被覆を切るのに刃が長すぎたのでカットしたそうです。
こうすると刃先がグラつかずに安定するのですね。

「ディスクグラインダーで切った。何故か最初は直ぐに切れたけれど最後は硬くてなかなか切れなかった」

との事で。
どうやら鋼と軟鉄のサンドイッチ構造を知らない様子でした。
柔らかい鉄と硬い鉄(鋼)が存在するという事がわからなかったようです。
電気工事のプロでも冶金学に精通している訳もなく当然といえば当然かもしれませんね。

案の定刃先が変色して焼き戻りしているようです。
ただし、全くのナマクラになった訳ではないようで活躍しているようです。
安いのにしっかりした刃物だから改造もしやすい。
改造する時にグラインダーを使用する場合は水に付けて冷やしながら慌てずゆっくり作業して下さい。

You Tubeなどで外国の楽器製作家が刃物を研ぐときにベルトサンダーで火花ギャンギャンに飛ばして研いだりしていますが、あれはハイスピードスチール、いわゆるハイス鋼を使っている場合がほとんどですので炭素鋼(安来鋼、青紙白紙、SK鋼など)で真似しないでください。
こういう事を知らないという事は恥ずかしい事ではありません。
ただ単に今から知ればいいのですから。