さあ研ぐぞ!その前に
前回は肥後守を研ぐための準備として砥石を用意したわけです。
さあ、研ぎましょうか!となるはずなのですが、その前に絶対に必要な砥石のメンテナンスについて説明しないとマズイのです。
砥石なんて滅多に使わないのだからメンテナンスなんて気にしない
という方はちょっと間違ってます。
ここでいう砥石のメンテナンスとは砥石の平面出しや目詰まり対策なのですが、これは砥石の為というよりも、しっかりやらないと肥後守(小刀)が綺麗に研げないのです。
常に平面である事が肥後守(小刀・ひいては刃物)研ぎの基本なのです。
もちろん基本ですからその先にはハマグリ刃に研ぐためにわざと湾曲させた砥石(賛否両論アリ)の作り方などもありますが、先ずは基本を押さえておきたいですね。
砥石メンテナンスに必要なモノ
ざっくり私流ですのでそのまま真似することはありません。
代用できるアイディアがあればどんどん採用してください。
①ブロック
平面を出したり目詰まりを解消するのにはブロックがいいです。
安いので買い替えが簡単です。
買ったばかりのブロックが完全な平面とは限りませんので修正は必要かもしれません、使っているうちにブロック自体が平面じゃなくなってきますが修正したり200円程度で買い替えできます。
道路の歩道のブロックや堤防などのコンクリートでも大丈夫です、しかし以前私は赤い砥石の修正を町中でやっていましたら赤い跡がイタズラ書きに思われて警察に通報されてしまいエライ事になった経験があるので以降はブロック派です。
②金剛砂
ザクロ石の粒子です。
これで擦り合わせをすると早いです。
修正砥石も持っていますが金剛砂&ブロックが速いので最近はもっぱらこればかり。
#120~#240くらいのを使っています。
150円~500円くらいです。
一度の使用量は小匙1杯程度で済みますので一度買えば長く持ちます。
③同じ砥石
え?なぜ?と思うでしょうが修正した後は傷が付いてしまい研ぎ面が安定しません。
同じ砥石を擦り合わせるのがベストですが、私は同番手の砥石を擦り合わせて均しています。
同じ番手といってもメーカーが勝手に決めているので#1000でも同じではありませんので面を指で触りながら確かめつつ擦り合わせてください。
番手の細かいのは耐水ペーパー#8000等でやっても問題ないですがコストはかかります。
④ストレート定規や鉛筆
ストレート定規は高いですからステンレス製の定規でも大丈夫です。
精度が欲しくなって一段上を目指す時にストレートエッジを買うといいでしょう。
鉛筆も用意しておいてください。
やり方は難しくない
①砥石に定規を当てて光の漏れから平面か否かを判断する。
色々な場所に当ててください。
蛍光灯に透かして光の漏れがあれば歪んでいるのです。
(一人で写真撮るの難しくてわかりづらいかもすいません)
②鉛筆で線を書きます。
擦り合わせて全て消えた時にほぼ平面という合図になります。
無くても大丈夫ですが削りすぎるともったいないですから。
③ブロック登場
ブロックに水をかけて濡らして金剛砂を小匙1程度置いて砥石を擦り合わせます。
同じ場所が当たらないように八の字にしたり斜めに擦ったりして、こまめに面を見て鉛筆線が消えた後にもう一度軽く擦り合わせて洗い流して完成!
定規で光漏れを確認して完成です。
④最終擦り合わせ
同じ砥石または同じ番手の砥石同士を擦り合わせて表面を滑らかにして最終完成です。
所要時間は10分以内です。
平面出しの頻度について
人造砥石は新品時にはほとんど平面だと思いますが、肥後守の中研ぎを一度でもすると平面ではなくなってしまうといっても過言ではないほど減りは速いです。
ですから研ぐ前には必ず平面をチェックして、一度に長い時間(10分以上)研ぐ場合は合間に平面チェック&平面出しが必要になると思います。
これほどまでに砥石の平面出しは重要
なはずなのですが、砥石の箱の中に平面出しについての説明が書いてあった試しがありません。なぜでしょう?
私は仕事で家屋の解体作業をしていまして、物置きのゴミ整理などを頻繁にやるのですが凹んだキンデラが何枚も出てくる家がたくさんあります。
ああそうか!平面出しのやり方を説明書に書くと砥石の寿命が伸びて新しい砥石が売れなくなるのか!
、、、そう感じてしまうのも仕方ないですよね?
各メーカー免罪符的に砥石修正器具を販売していますが宣伝してないものね。
うーん。。。凹んだら新しいのを買うか。。。常に平面砥石を使うか、最後はアナタ次第という事か。
これまた私の勝手な意見かと思いますが平面出しを常に維持できた砥石を持てると研ぎ技術は8割マスターしたと言っていいと思います。
砥石のメンテナンスにお金はたくさんはかかりませんが手間と時間はかかりますね。
慣れると苦になりませんし刃物の仕上がりが違いますのでやる価値は十分にあります。
自分流の考え方、道具や、やり方を導入してやってみてください。
さあ、平面砥石は手にいれた!いよいよ次回は肥後守を研ぎましょう!
サクッと研いだよ編