裏が無茶苦茶でも切れる。無銘の小刀

どうやって入手したのか忘れてしまったくらい印象の薄い切り出し小刀に自作鞘を作って仕込んでみたものです。
銘もわかりません
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一見すると中々の小刀ですが、裏を見ると驚きです
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なんだこれは!?
ガタガタに歪んだ裏を平面になるまで研いでみたらこうなりました。
一部欠けたようになっているのは最初からなのです。
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こんな裏でも凄く切れます。
要は刃に近い部分が平面ならば切れるということなのかな?

叩きノミなんかは裏がちゃんとしていないと食い込みに問題があるのでしょうけど、小刀は赤い部分が仮に欠落していたとしても切れるのです。
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この理論からいくと刃先の裏に小刃(バックベベル)を入れて極小の疑似平面を作るとそれだけで切れるし、簡単に裏出しが完了するという。。。海外では鉋等にはこの方法が使われ始めているようです。
※日本の小刀界では増田切り出し工場製の一部の切り出し小刀にこの独自の研ぎがされているのを確認しています。
バックベベルは割と直ぐに仕上がります。
「裏だし」と聞くとそれだけで素人には無理だと思えてしまう高い敷居になりますが、こういう敷居を破壊していかないと刃物の普及はないのであります。
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仕上げに近くなったら必殺の小刀を使えば良いわけで荒削り部分はこういう小刀を愉しみながら使う、というのが私の流儀でもあります。

色々と感じる事のある小刀です。

※2022年現在盗難に遭ってから未だ見つからない小刀リストに入っています