日曜日に砥石の平面を出したりして休日を過ごしました。
月曜日は春雨で休工となり、ここぞとばかりに切れなくなった肥後守を研いでいました。
ネットを観てみると肥後守を研いで使う方達の並々ならぬテクニックには驚かされますね。
基本的には「ベタ研ぎ」というのが根底にあって、砥石や力加減等には色々な理論があって、肥後守入門者にはどれが正しいのか分からなくなります。
切れるようになるという事が前提の研ぎですからメソッドは違えど皆正しいと言えるのではないでしょうか?
「そのやり方は違う」
「こっちが正しい」
などと論じるよりも、様々なやり方を吸収して自らの技を身につける事に専念した方が面白いと思います。
私にももちろん持論がありますが、絶対とは思っていません。というのが前提です。
肥後守には様々な種類があり、材料や値段によって様々な刃角度が存在します。
一概には言えませんが安価な商品は鋭角傾向であり、高くなると鈍角傾向だと思います。
左は刃角度が24度。
右は刃角度が18度。
これで研ぎ方が同じなわけはないと思うのです。
右の刃角度18度の肥後守は以前も紹介しました、その時も刃角度が鋭角傾向であり刃先が脆いので小刃を付けて使っていると書きました。
ところが、小刃を研ぎながら長く使っているとある日突然切れなくなるんです。
分かりにくいかもしれませんが、図の一番上が新品時で二番目が小刃を付けていった様子。
小刃を研ぎ進めると鈍角になって、産毛などは剃れますが、木などの硬い物は全く切れなくなってしまいます。
多くの方が小刃付けという研ぎ方を自ら見つけて凄い発見をしたような気分になり使い続けるのですが、切れない状態になると
「やっぱり安物はだめだね、中は鋼が無いんだね」
という考えに至って捨ててしまったりするようです。
ですが、図の一番下のような修正をすることにより切れ味は復活します。
この、修正は中々に骨が折れる作業です。
ダイヤ砥石やシャプトン180を使って鋼部分を鋭角に戻していくのですから。
かなり研ぎ減りしていますね。
しかも、肥後守は安価の代表ですから鎬部分なんてガタガタで刃線も真っ直ぐにならない、途中で嫌になることしばしばです。
数時間かかることもあるので廃棄して新品買おうかな?という誘惑とも戦わなければいけません。
それでも切れ味が復活すると小躍りしたくなりますね、私は。
上は剣聖宮本武蔵の肥後ナイフ。
初期状態はカネコマよりも切れるが、完璧に研いだ肥後守は切れ味はもちろん、チキリの指当たりや握った感じが工作に良く合うような感じがする。