小刃について

和式ナイフが好きだからといって洋式ナイフの事を毛嫌いしているわけではなくて、TPOを考えて使っていますのでアウトドアにはあまり切り出し小刀は似つかわしくないと考えてMORAナイフ等を数本持っています。
繰り小刀をアウトドアに持っていくと物騒ですしね。

スエーデン製のMORAナイフは安価ですから無茶な使い方をしても替えがきくので人気が高いようで、巷ではMORA信者等という言葉もあるようです。

写真のナイフはMORA PROという炭素鋼モデルです。

Web上の情報を見てみると

スカンジベベル

購入時にマイクロベベルは付いていない

最初から産毛が切れる切れ味

等の書き込みが見受けられます。

洋式ナイフはスカンジとかコンベックとか用語がいろいろややこしい。
そしてマイクロベベルについての考察が実に多く、大半の人がマイクロベベルを「切れない」として毛嫌いしている。

私がこのMORAナイフを購入した時に真っ先に感じたのは、
「ん?小刃付いてるじゃない?!」
というものでした。

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刃先の0.1ミリくらいの部分の色が違うのがわかるだろうか?
これは絶対に小刃である。
MORA PROにマイクロベベルが無いと言っている諸兄は刃先の極小の鈍角刃が見えていないのだろうか?
「マイクロベベル(小刃)が無いから切れ味最高!」
と書いている人が多いが、この文章がまさに小刃があると切れないという仮説を完全否定しているのだ。
小刃が付いていても切れるのである。

あまりにも小さいレベルの鈍角刃なので小刃(マイクロベベル)ではなくて糸刃(ナノベベルとでも言いたいのか?)だ!という人もいる。
洋式ナイフの事を書いたサイト等ではマイクロベベルではなくてセカンダリーベベルだ(セカンダリーベベルは2段刃じゃないの?)!という人もいたりして情報が統一されていない様相だ。

糸刃も小刃の一種だ!
あまりにも大きい小刃は2段刃だ!

様々な意見がカオス化している。
権威あるナイフ研究家が統一理論を発表して世界規格でも作らない限り混沌は続くのだと思う。

私的意見は小刃で切れ味が落ちるというのは小刃じゃない!刃を潰しているだけだ!と思っている。
切り出し小刀の場合、刃先に30度くらいの小刃(糸刃)を付けると強靭な刃先になって切れ味もほぼ変わらずに使う事ができると思っている。
ピンピンに研いだ状態を100とした場合小刃付けは98くらいの切れ味ダウンは否めない。
切り出し小刀の場合、購入時は刃先が脆い事が多いので小刃を巧みに付けながら研ぎ減らして本来の硬い刃先を出していく「育成」工程がある(あくまでも私的)。
一見見ても分からない幅の小刃を付けるのがコツである。

小刃についてわかり易い解説が書いてあるサイト

小刃は刃物の刃先付近に、わずかに小さな段のような刃を付け、正式な刃とする事を指します

小刃は別名で「糸刃(いとば)」とも呼ばれますが、鉋や切出し小刀で言う「糸裏(いとうら)」と間違える方も多い為、当方では糸刃と言う言葉は使わないようにしています。

特にべた研ぎの場合には、刃物の厚みが薄くなり、刃先は特に薄くて弱くもなる可能性が高いので、そうなってしまうと、「研いでも刃が付かない」となってしまいます

遠目に見て、明らかに段がきつく、幅が広く見えるようですと、それは小刃ではなく、「大刃」になってしまいますね。
この小刃を上手くコントロールする事は、容易ではありません。

小刃はこれ!ではなく、こんな小刃もあれば、あんな小刃も・・・と、無数に存在しているものですから、総合的な研ぎプランの中に、計算として含めておかないと、最後の最後に失敗となってしまうのです。

こちらのサイトでは刃先の強化のさらに向こう側の研ぎ上がりについての話にも及んでいてびっくりです。

MORAナイフのような薄くて鋭角度の刃物をピンピンに研ぐと刃先がとても脆くなるので小刃は必須だと思うのだが、切れ味重視で毎回研ぐ人は苦にならないのかもしれない。

ようは切れればいいのだし人それぞれ。というのが最終結論なのだ。
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これはマキリ小刀。
2段刃の刃先にさらに小刃を付けている。
結果として3段刃になっている。